安倍晋三の単細胞な視野狭窄が言わせた障害者芸術活動支援展覧会での多様性・個性と全日本人の輝きなる幻想

2017-11-01 07:47:08 | 政治

 安倍晋三が10月30日(2017年)午前、東京港区で開かれている障害者の芸術活動支援の展覧会「DIVERSITY IN THE ARTS」に出かけて、絵画や彫刻等を鑑賞したと10月30日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。       

 記事は日本財団が開いていると解説している。「Wikipedia」で調べてみると、公営競技の一つである競艇の収益金を基に海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業を主に行なっている公益財団法人と記載されている。前進は戦前、ファシズムと国粋主義を標榜した右翼団体国粋大衆党の総裁として君臨した笹川良一が戦後に創設した財団法人日本船舶振興会である。

 運輸大臣の監督下に置かれて競艇の収益金の中から一定の交付金を受けて、そのカネを造船業界等の振興や公益活動への補助金支給や資金貸付等のカネの配分で戦前から引き継いできた右翼の顔と合わせて権力を得たのだろう、政財界の黒幕との名称で奉られるようになっていた。

 言ってみれば他人のフンドシ(=カネ)で相撲を取って天下の横綱(=権力獲得者)を張ったような人物だったのだろう。

 日本船舶振興会の後身日本財団は笹川良一亡き後、現在はその三男笹川陽平が会長を務めてカネの配分で力を振るっているようだ。「DIVERSITY IN THE ARTS」の「DIVERSITY」は「ダイバーシティ」と発音、「多様性」という意味だそうだ。「芸術に於ける多様性」とでも訳すのだろうか。

 安倍晋三は元SMAPメンバーで展覧会に賛同して絵画を出展した香取慎吾の案内で鑑賞して回ったと記事は書いている。

 安倍晋三「それぞれの多様性、個性を生かしたもの、その感性が芸術として展示されているんだろうなと思った。2020年、東京オリンピック・パラリンピックがある。全ての日本人が輝く日本の姿を世界に示していきたい」

 前段の意味と後段の意味がどう繋がっているのか皆目見当がつかない。確かに障害者であっても、素晴らしい絵を書き、素晴らしい彫刻を彫る。あるいは特定の物事に関して特段の能力を発揮する、あるいは記憶力がハンパでないということもある。そして多くの障害者が健常者に少しでも追いつこうとしているのか、今ある機能全てを使って懸命に生きている。

 障害者という一つの固定観念に閉じ込めて見るのではなく、多様性の中のそれぞれの個と見なければならない。

 だが、多様性を認めない狭苦しい日本の社会となっている。学校でイジメが多いのもイジメる側に多様性を認める心の余裕・寛大さがないからだろう。10月26日付「共同通信47NEWS」記事が、〈文部科学省10月26日公表2016年度問題行動・不登校調査結果で、小学校での暴力行為が2万2847件に上り、前年度から5769件増え、調査が現行方式となってから過去最多を更新したことが分かった。特に児童同士の暴力は4千件以上増え、全体の約7割。年度間に30日以上欠席した不登校の小学生も3568人増の3万1151人で過去最多だった。〉と伝えている。  

 いじめの積極把握方針が暴力行為把握件数増となって現れたということだが、違いを認める多様性への配慮を欠いていることから、つい意地悪なからかいやイタズラを働くことになって、それが往々にしてイジメに発展していく。

 勿論、違いに対して無視しろと言うことではない。無視は多様性の承認とは逆の行為となる。例え一つの教室の中で挨拶もしない相手であっても、違いは違いとしてそれぞれが一個の存在者であることを感じ取っていなければ、多様性の中のそれぞれの個と見ることにはならない。

 自分だけが一個の存在者であるという感覚を持ち得て、気に入らない相手にはそれぞれに違う一個の存在者であると感じることができなければ、そのこと自体が多様性の排除となる。

 同じ日付の同じ内容を扱っている「NHK NEWS WEB」記事が子どもの自殺が平成で過去最多になったとの報道を付け加えていた。      

 前の年より29人増えて244人。確か安倍晋三は第2次安倍政権になって自殺者が減ってきたと自慢していたようだが、少子高齢化の上に子どもの自殺が増えたのでは角を矯めて牛を殺すようなものである。

 勿論、子どもの自殺はイジメだけが原因ではないが、子どもたちの可能性に向けた多様性の扉が常にオープンに開かれている学校社会、家庭であるなら、自分なりの可能性を見い出して自殺とは逆の生きる方向への歩みを取るはずだ。

 今もなお頑固な疾病のように蔓延(はびこ)っている障害者差別にしても、多様性の閉鎖社会となっていることの一つの象徴であろう。盲導犬や聴導犬等の補助犬が建物の中に入るのを断るホテルやレストランも未だに存在するようだ。公益財団法人アイメイト協会が『障害者差解消怯』施行(2016年4月1日)1年を機に2017年2月10日~3月12日に行った差別に関わる「アンケート調査」では有効回答数121人の内(男 64人、女 54人 性別の記入無 3人)のうち、〈法律施行後の2016年4月1日から2017年2月までの期間(10ヵ月間)に、アイメイト(盲導犬)を理由に入店拒否などの差別的な扱いを受けた犬は、全体の6割以上(75人62.0%)にのばった。〉と報告している。
   
 このような差別の状況にあることから、厚労省が公共性を担った医療機関に対しても2013年6月に《身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために~医療機関に考慮していただきたいこと~》といった要望書を出すことになったのだろう。   

 かくかように多様性を認めない日本の閉鎖社会を脇に置いて、絵画展の多様性の連想からか、「全ての日本人が輝く日本の姿を世界に示していきたい」との言葉で2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは「全ての日本人が輝く」ことができる多様性を約束するかのように言う。

 「全ての日本人が輝く」については差別の一切ない完璧な多様性を約束しなければならない。例え格差社会を受けて少ない収入で遣り繰りの生活を強いられたとしても、心は豊かに保つことのできる多様性を保証しなければならない。

 だが、貧しい多くの国民は精神的にゆとりのないギスギスした生活を強いられているのが実態となっている。

 安倍晋三がいとも簡単に「全ての日本人が輝く日本の姿を世界に示していきたい」と言うことができるのは、多様性とは逆行する格差社会をせっせと築いていること、あるいは様々な差別が横行する社会を足下に置いていることに向けるだけの目を持たないからだろう。

 だから、障害者の芸術活動支援の展覧会で障害者の多様性や個性に触れて、その一面的事実で以って同じような多様性・個性が日本人全体に保証されているかのようなことを言うことができる。

 様々な差別や多様性排除の閉鎖社会が証明することになる、安倍晋三の単細胞な視野狭窄が言わせた「全ての日本人が輝く」という安請け合いの幻想に過ぎない。
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