安倍晋三の傲慢さを紙一重ウラに隠した自信過剰は“謙虚”と“丁寧”を上辺だけの心がけに過ぎないと暴露

2017-11-03 12:10:51 | 政治

 安倍晋三は特定秘密保護法、共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案、集団的自衛権の憲法解釈行使容認を含む新安保法制等々の国民世論の反対が優勢、あるいは拮抗する諸政策の国会審議に関して常々「丁寧な説明を心掛ける」をキャッチフレーズとしてきた。

 だが、最後は数の力を駆使、法案を力づくで成立させてきた。

 森友学園忖度疑惑・加計学園政治関与の両疑惑を受けて内閣支持率が急激に低下すると、再び「丁寧な説明」を持ち出した。“丁寧”と“謙虚”は相互対応し合う心がけを示す。心がけとしての丁寧さは謙虚を心がけとしていることによって可能となるし、謙虚さは丁寧な姿勢を常に心がけていなければ、心身共に姿勢とすることはできない。

 2017年7月24日の加計学園衆議院閉会中審査。文飾は当方。

 安倍晋三「李下に冠を正さずという言葉があります。私の友人がかかわることでありますから、国民の皆様から疑念の目が向けられることはもっともなことであります。

 思い返しますと、私の今までの答弁においてその観点が欠けていた、足らざる点があったことは率直に認めなければならないと思います。常に国民目線に立ち、丁寧な上にも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい、改めてその思いを胸に刻み、今この場に立っております」

 2017年7月25日の加計学園参議院閉会中審査。

 安倍晋三「まだ多くの国民の皆様に御納得いただいていないのは事実でございますので、事実に我々は基づいて丁寧に説明を続けていきたいと、このように考えております。

    ・・・・・・・・・・

 今までの政府における説明に対して国民の皆様から十分な御納得が得られていないということは十分に承知をしております。

 昨日、私といたしましても、事実に基づいて丁寧に説明をさせていただいたところでございますが、国民の皆様がどのように判断されるかということについてはまさに国民の皆様が判断されることであり、そのことについては真摯に受け止めたいと、このように考えております」

 自身の丁寧な説明に対して、「国民の皆様がどのように判断されるかということについてはまさに国民の皆様が判断されることであり、そのことについては真摯に受け止めたいと、このように考えております」の発言には一種の開き直りを窺うことができる。

 森友・加計疑惑で受けた内閣支持率低下が北朝鮮問題で一時回復したが、再び低下したにも関わらず、2017年10月22日投開票の祝儀委員議員選挙で安倍自民党は圧勝することになった。

 安倍晋三が衆議院選挙の結果を受けて自民党総裁として自民党本部で行った2017年10月23日「記者会見」(自民党/2017年10月23日)      

 安倍晋三「総選挙において、我が党が、3回連続で、過半数の議席を頂いたのは、ほぼ半世紀ぶり。同じ総裁のもとで、3回続けて勝利を得たのは、立党以来60年余りの歴史の中で、初めてのことであります。

 であるからこそ、謙虚に、政策を進めていかなければならない。本当に身の引き締まる思いであります。私自身、その責任の重さを、深く噛みしめております」

 安倍晋三は「我が党が、3回連続で、過半数の議席を頂いたのは、ほぼ半世紀ぶり」、「同じ総裁のもとで、3回続けて勝利を得たのは、立党以来60年余りの歴史の中で、初めてのこと」と自身の功績を優れた記録として最初に誇っている。

 その後で心がけとしての「謙虚」という言葉を持ち出している。

 もし事実、国民の声に耳を傾けて政策立案と国会審議、成立した政策の実行に「謙虚」な姿勢で臨む心がけでいたなら、他の誰もが成し得なかった、自身によって打ち立てることができた選挙の勝利の回数と獲得した議席の数を誇るようなことはしないはずだ。

 なぜなら、全てに対して「謙虚」でなければ、ホンモノの「謙虚」とは言えないはずだし、記録に対しても「謙虚」な姿勢を心がけなければならないからだ。

 だが、記録をより重視しているから、自画自賛を先に持ってきて、その後に「謙虚」という言葉を持ってきているはずだ。 

 そして第4次安倍内閣発足後の「記者会見」首相官邸/2017年11月1日)   

 安倍晋三「本日、第98代内閣総理大臣として、引き続きその重責を担うこととなりました。

 まず冒頭、先の総選挙において、これまで3回の中で最も高い得票数によって私たち自由民主党を力強く信任してくださった国民の皆様に対し、改めて厚く御礼を申し上げます

 その負託にしっかりと応えていかなければならない。責任の重さを深く胸に刻み、謙虚な姿勢で自由民主党、公明党の強固な安定した連立基盤の上に、真摯な政権運営に当たってまいります」

 「これまで3回の中で最も高い得票数によって私たち自由民主党を力強く信任してくださった国民の皆様に対し、改めて厚く御礼を申し上げます」との発言は一見、自民党に投票した国民に対する感謝に聞こえるが、政権は自民党に投票した国民だけのためにあるのではない。再度政権を担うことが決定した以上、全ての国民と向き合う義務と責任がありながら、そのことを忘れて、自民党投票の国民のみに顔を向けて感謝し、その感謝を通して、「最も高い得票数」を誇る。

 とてものこと、口にしている「謙虚な姿勢」はホンモノには見えない。

 安倍晋三が謙虚さを忘れて誇っているのは以上のことだけではない。
 
 安倍晋三「国民の皆様の信任を大きな力として、選挙でお約束した政策を一つ一つ実行し、結果を出していく。そのために安倍内閣は本日から早速、全力投球であります。

     ・・・・・・・・・・

 国民の皆様の強い信任を得て、一層、強力な経済政策を展開してまいります。国民の皆様の信任は、強い外交の源泉でもあります。そして、継続こそ力であります」

 選挙前の各マスコミの内閣支持率は50%、あるいは40%を切っている上に支持しないが支持するを3~4%上回る逆転状況にあった。但し自民党に対する政党支持率は常に30%を超えていて、野党は5%台以下で、自民党1強の情勢にあった。

 いわば安倍晋三に対する「強い信任」とするには整合性がいささかズレることになる。このことは10月の「産経・FNN合同世論調査」産経ニュース/2017.10.16 22:30) が如実に証明することになる。

 「安倍晋三内閣を支持するか」
 「支持する」42.5%(9月調査50.3)
 「支持しない」46.3%(40.0)
 「他」     11.2%(9.7)

 《首相の人柄》

 「評価する」47.0%(56.2)
 「評価しない」45.0%(37.7)
 「他」     8.0%(6.1)

 9月調査よりも支持するが7.5ポイント下がり、支持しないが6.3ポイント増えている。人柄に至っては評価するが9.2ポイント下がり、評価しないが8ポイント増加している。

 もし安倍晋三が謙虚な心がけで新たな政権担当に臨む気持でいたなら、安倍晋三お得意の言葉で言うと、このファクト(=事実)に“謙虚”に目を向け、「強い信任」といった言葉は決して口にできないだろう。

 にも関わらず口にするということは「強い信任」を誇っているからこそである。

 ここにも“謙虚”も“丁寧”さも見えてこない。

 先に挙げた「我が党が、3回連続で、過半数の議席を頂いたのは、ほぼ半世紀ぶり」、あるいは「同じ総裁のもとで、3回続けて勝利を得たのは、立党以来60年余りの歴史の中で、初めてのこと」との自画自賛は自身に対する「強い信任」という思いがあるから口をついて出てくる言葉であり、「強い信任」と相互対応した自画自賛の言葉に過ぎない。

 到底、“謙虚”とか、“丁寧”といった心がけを窺うことはできない。逆に傲慢さを紙一重ウラに隠した自己を絶対とする自信過剰しか見て取ることができない。

 冒頭発言終わり近くに次のように発言している。

 安倍晋三「内外の困難な課題が山積する中で、今、求められていることは、一心不乱に政策を前に進め、そして、結果を出すことであります。国民の皆様の支持を大きな力に変えて、ひたすらに仕事に打ち込んでいかなければならない」

 「一心不乱に政策を前に進め」とか、「ひたすらに仕事に打ち込んで」といった言葉は謙虚で丁寧な心がけで国民に向き合い、政権を担当するという趣意となる。

 だが、党総裁として、あるいは首相として自身が選挙で打ち立てた記録を誇り、それを国民の「強い信任」に直結させる傲慢さを見せた後での謙虚で丁寧な心がけに過ぎない。

 上辺だけの心がけと見る他ない。そのうちメッキが剥がれるだろう。
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