麻生太郎の「軽減税率面倒臭い」の国民目線をおっぽり出した国家目線・高額所得者目線に見える

2015-09-07 09:48:22 | 政治


 自民党の副総裁、安倍内閣の財務相麻生太郎がB20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)出席のためにトルコのアンカラを訪問中、記者団に2017年4月の消費税10%増税時の軽減税率導入案に代わって給付金配布案を財務省が検討していると報じられたことについて問われて、答えている。

 麻生太郎「複数の税率を入れるのは面倒くさい。面倒くさくしないようにするところが手口だ」(毎日jp)  

 記事は税率が複数になると経理事務が複雑になることを懸念している経済界へ配慮を滲ませた発言だと解説している。

 消費税への軽減税率導入は消費税が家計に占める生活必需品等の購入割合が高い低所得者程その負担が大きくなる逆進性に対する緩和策とされている。

 要するに低所得者程、娯楽だ、レジャーだ、国内旅行だ、海外旅行だ、あるいは高級家具だ、高級車だといった贅沢な消費で余裕ある生活を成り立たせている高額所得者とは正反対に、それがなければ生活が成り立たない生活必需品の消費のみで手一杯の余裕のない生活状況にあるために消費税が上がる程に逆に生活を蝕み、その負担が大きくのしかかることになるから、その救済策としての軽減税率というわけである。

 中には最低限の光熱費と最小限の食費のみの支出で収入の殆どを占める低所得者にとっては消費税は生活をなおさらに苦しめる害悪以外の何ものでもないに違いない。

 9月5日付のマスコミ記事は財務省が酒類を除くすべての飲料と食料品を対象に税負担の軽減策の導入を検討していると報じていたが、さはあれども、軽減税率導入には様々な問題点が指摘されている。

 先の記事の解説にあった経理事務の複雑化や、特にスーパーなどの生鮮食品の場合、その日によって仕入れ価格が異なって、そのことによって小売価格が変わってくることからのレジの単価設定の日々の煩雑化が指摘されている。

 だがである。いくら経理事務の複雑化を挙げようと、日々のレジの単価設定の煩雑化を挙げようと、欧州各国ができて日本ができないというのは説得力がない。

 スーパーは各商品に貼り付けてある、あるいは印刷してあるバーコードをレジ備え付けのバーコードリーダーで読み取るだけで単価を打ち出すことができる。日々単価の変わる生鮮食品のパソコンを使ったバーコードの作成は現在も行っているはずだし、各商品ごとに異なる税率を前以て設定しておけば、自動的に価格を弾き出すことになるはずだ。

 大体がそういったことが自動的にできるパソコンソフトはソフト会社が新しく作成・販売するはずだし、経理事務の複雑化にしても、売上の書類、あるいは得意先会社に提出する請求書、さらに税務署に提出する書類等々も、それぞれに応じたソフトを購入しさえすれば、今までと同様の、あるいは今までとさして変わらないキーボード操作で書類作成は可能となるはずだ。

 軽減税率導入の最大の問題点、デメリットは、高額所得者になる程に軽減税率の対象となる食料品に対する消費が低所得者の消費よりも高額であり、軽減税率導入によって高額所得者になる程、より利益を得て、その層を優遇することになり、その分国庫収入となる税収が減るという点であろう。

 欧州各国が実施しているにも関わらず、日本が軽減税率導入をできないと上げている様々な理由は税収が減ることを避ける口実に見えてくる。

 となると、麻生太郎が言っている「複数の税率を入れるのは面倒くさい。面倒くさくしないようにするところが手口だ」は、いくら低所得層に軽減税率に代えて給付金を給付しようとも、国民目線に立った発言ではなく、国家目線からの発言ということになる。

 なぜなら、酒類を除くすべての飲料と食料品に消費した金額が全て給付金として給付されるか分からないし、中には消費金額よりも多くの金額が給付される場合が生じて、軽減税率よりも平等性を確保できないことに対して国庫収入はしっかりと確保できるて、より国家に有利となる給付金制度となるからだ。

 酒類を除くすべての飲料と食料品に対する軽減税率導入によってそれらに対する高額所得者の消費金額をより大きく軽減することになったとしても、その分、所得税の累進課税率を上げて、軽減税率導入で目減りする国庫収入を可能な限り補うことできるはずだ。

 また、そうすることで軽減税率導入による低所得層の平等性も確保できるはずだが、そうしないことによって逆に高額所得者の所得の保証をすることになる。

 麻生太郎の「複数の税率を入れるのは面倒くさい」は国民目線をおっぽり出した国家目線からの発言であると同時に高額所得者目線からの発言に見えて仕方がない。

 元々安倍内閣は安倍晋三を筆頭に国民よりも国家を優先させる国家主義者の閣僚が優勢を占めている国家主義者集団でもある。国家目線・高額所得者目線は当り前の形勢なのかもしれない。

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