尖閣諸島を日中二国家領有・二国家共同管理としたらどうか

2015-04-13 08:39:42 | 政治


 歴代政府は「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本の領土」という立場を取っている。

 しかし名ばかりの領土となっている。日本政府が尖閣諸島を国有化する前は「尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のため」という口実の元、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針を取っていたし、国有化後も国有化前と同様、現状が示している通り、自由な上陸・自由な経済活動を許していない。

 いわば無人島状況を継続させたままである。

 では、何のための日本の領土なのだろう。

 無人島状況継続の理由は中国の領有権主張と絡んでいるからなのは誰もが承知している。2015年4月4日時点で中国公船は今年に入って尖閣諸島海域での領海侵犯を10回も侵している。2014年は、外務省HP《日本の海上保安庁の巡視船が日本の領海からの》によると88回もの領海侵犯となっている。接続水域内入域はそれ以上の回数である。   

 中国公船が領海侵犯を犯すと日本の海上保安庁の巡視船がマイクや無線等で領海から直ちに出るよう警告を発する。それに応えて中国側は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の領土である。巡視船は直ちに領海から出るよう」警告を返す。

 その繰り返し、イタチごっことなっている。

 「Wikipedia」によると、 国際連合アジア極東経済委員会による1969年(昭和44年)の海洋調査で尖閣諸島海域にはイラクの埋蔵量に匹敵する大量の石油や天然ガスの埋蔵の可能性が報告されるという。

 そのような甚大な量の石油や天然ガスを開発すらできない。開発して、日本の資源として活用することもできない。

 名ばかりの領土として以後も維持させていくのだろうか。

 何もできない領土、あるいは何もしない領土は領土の名に価しない。

 新しく自分名義で豪邸を建てたものの、妻から締め出しを喰らい、出入り禁止を申し渡された亭主みたいなものである。自分の所有物でありながら、そこで憩うことすらできない。

 例え2等分の収穫となったとしても、資源開発や経済活動できるようになれば、名ばかりの領土であることから脱することができるし、2等分の収穫は国益にプラスされる。

 尖閣諸島に於ける領土・領海が計算上は1から2分の1に減った分、経済的な国益のプラスだけではなく、尖閣諸島に関わる中国の軍事的脅威を減らすことができる分、外交上のプラスとなる。

 中国の軍事的脅威が後退すれば、その後退に応じて沖縄の日本の安全保障上の地理的優位性も後退するはずで、自民党政府の主張に代表される普天間の辺野古移設の緊急必要性は本土移設によって代えることができるようになる。

 中国に尖閣諸島を渡せば、次は沖縄に食指を伸ばすという尤もらしい意見が流布しているが、尖閣諸島の日中二国家領有・二国家共同管理はあくまでも話し合いによる移行である。

 話し合いでそうなった上に沖縄の領海を侵犯したり、最悪沖縄を軍事的に侵攻する非常識は考えることはできない。国際社会から猛批判を受けることになるはずだ。

 尖閣諸島を日中二国家領有・二国家共同管理としても、尖閣諸島の最大の魚釣島から石垣島まで170km、沖縄本島まで410km。領海は基線から最大12海里(約22.2km)までの範囲を言うから、石垣島も沖縄本島も十分に守ることはできる。

 残る問題は歴史認識問題だが、歴史認識に蒙昧な安倍晋三が首相を退けば、少しは賢い対中外交への転換が期待できるはずだ。

 尖閣諸島を資源開発もできない、経済活動もできない、国益に何のプラスもしない名ばかりの領土として以後20年も30年も、あるいは百年以上も後生大事に守り続けて、その間中国の軍事的脅威に対する極度の緊張を持ち続けるのか、少しは考えるときが来たのではないだろうか。

 NHK会長の籾井勝人みたいに竹島や尖閣島の領土問題に関して「政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」と言っているだけが能ではないし、何の進展も期待できない。

 日中両国間の緊張関係によって艦艇や航空機の偶発的な軍事衝突を避けるための「海上連絡メカニズム」を構築した場合の主要手段となるホットラインの設置すらできないでいる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする