小沢派の比例選出議員16人に加えて松木農水政務官も造反し、菅総理への圧力を強めている。それに対して、小沢さんは造反に理解を示しているようだ。しかし、小沢派議員による菅降ろしは、親分に忠誠を誓うという意図が見え透いていて気持ちが悪い。
菅総理が、尖閣問題で指導力を発揮できなかった原因のひとつには、小沢さんとの熾烈な代表戦の影響があったという見方がある。不慣れな総理の仕事に代表戦が加わり、菅さんの疲労は体力・気力の限界を超えていたのではないか。加えて、外国訪問の時差によるダメージもある。テレビに映った顔を見ると、まるで病み上がりのようで、見慣れた菅さんではなかった。
国家・国民のことを考えるなら、小沢さんは、どんなに菅さんが気に食わなくても、就任して数ヶ月の総理大臣を引きずり降ろそうと目論むべきではなかった。穏忍自重して、そっと裏で支えて次の出番を待つことこそ、大モノ政治家のふるまいであったろう。小沢さんのやったことは、「オレがオレが」の権力志向そのものと見られても仕方ない。
民主党の支持率が下がっている大きな要因として、党内でのゴタゴタが続いていることが大きいが、政治とカネも含めて、その大部分に小沢さんが絡んでいるといって差し支えない。自民党の強いところは、どんなに派閥争があっても、ここ一番という時には見事に結束する部分なのだが、民主党にはそれがないのが残念だ。
小沢さんは、民主党の政権奪取の功労者ではあるが、政治とカネであれだけ醜聞が広がったのだから、大きな顔をしない方がご自身のためにも国のためにも良かったのではないか。刑事事件という意味では無罪でも、カネの出所が説明できなくては国民の心証は良くない。菅さんに言われなくても、民主党のためを思うなら代表戦などに出ず、事態が沈静化するまで静かにしているべきだったと思う。
ただし、総理の椅子を目前にしながら特捜検察に「やられた」無念さはわかる。帳簿がどうのこうの、というのは犯罪としては微罪だし、西松建設絡みの贈収賄事件も、なんら物証が上がっていないところを見ると、例によって強引な取り調べの副産物かもしれない。あの事件さえ起きなければ、小沢政権が誕生していて、鳩山総理による普天間問題の「漂流」はなかっただろうし、菅さんによる参院戦の大敗もなかっただろう。民主党にとっては、決定的な運命の分かれ道だった。小沢さんに、一度は総理をやらせて見たかったと、私も思っている。
菅さんは、ここへ来て長期的政策を打ち出しているが、建て直しの道はきわめて厳しい。選挙を控えている地方議員からは、菅さんでは戦えないという悲鳴が上がっている。しかし、予算が通らないことを悟って自分の意思で退陣するとか、周囲がそれを勧めるというならわかるが、菅内閣の足を引っ張り続けて人気低落の原因を作っている人たちが圧力をかけるというのは、いささか筋が違う気がする。
党内対立が目立てば目立つほど、民主党は国民から笑いものになってしまうのに、なんとも困ったものだ。野党は、倒閣を超えて総選挙に照準を合わせて来ている。もう、党内対立をしているゆとりなどない。
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菅総理が、尖閣問題で指導力を発揮できなかった原因のひとつには、小沢さんとの熾烈な代表戦の影響があったという見方がある。不慣れな総理の仕事に代表戦が加わり、菅さんの疲労は体力・気力の限界を超えていたのではないか。加えて、外国訪問の時差によるダメージもある。テレビに映った顔を見ると、まるで病み上がりのようで、見慣れた菅さんではなかった。
国家・国民のことを考えるなら、小沢さんは、どんなに菅さんが気に食わなくても、就任して数ヶ月の総理大臣を引きずり降ろそうと目論むべきではなかった。穏忍自重して、そっと裏で支えて次の出番を待つことこそ、大モノ政治家のふるまいであったろう。小沢さんのやったことは、「オレがオレが」の権力志向そのものと見られても仕方ない。
民主党の支持率が下がっている大きな要因として、党内でのゴタゴタが続いていることが大きいが、政治とカネも含めて、その大部分に小沢さんが絡んでいるといって差し支えない。自民党の強いところは、どんなに派閥争があっても、ここ一番という時には見事に結束する部分なのだが、民主党にはそれがないのが残念だ。
小沢さんは、民主党の政権奪取の功労者ではあるが、政治とカネであれだけ醜聞が広がったのだから、大きな顔をしない方がご自身のためにも国のためにも良かったのではないか。刑事事件という意味では無罪でも、カネの出所が説明できなくては国民の心証は良くない。菅さんに言われなくても、民主党のためを思うなら代表戦などに出ず、事態が沈静化するまで静かにしているべきだったと思う。
ただし、総理の椅子を目前にしながら特捜検察に「やられた」無念さはわかる。帳簿がどうのこうの、というのは犯罪としては微罪だし、西松建設絡みの贈収賄事件も、なんら物証が上がっていないところを見ると、例によって強引な取り調べの副産物かもしれない。あの事件さえ起きなければ、小沢政権が誕生していて、鳩山総理による普天間問題の「漂流」はなかっただろうし、菅さんによる参院戦の大敗もなかっただろう。民主党にとっては、決定的な運命の分かれ道だった。小沢さんに、一度は総理をやらせて見たかったと、私も思っている。
菅さんは、ここへ来て長期的政策を打ち出しているが、建て直しの道はきわめて厳しい。選挙を控えている地方議員からは、菅さんでは戦えないという悲鳴が上がっている。しかし、予算が通らないことを悟って自分の意思で退陣するとか、周囲がそれを勧めるというならわかるが、菅内閣の足を引っ張り続けて人気低落の原因を作っている人たちが圧力をかけるというのは、いささか筋が違う気がする。
党内対立が目立てば目立つほど、民主党は国民から笑いものになってしまうのに、なんとも困ったものだ。野党は、倒閣を超えて総選挙に照準を合わせて来ている。もう、党内対立をしているゆとりなどない。
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