映画「トゥル―グリット」を見てきた。1961年にジョン・ウエインがアカデミー賞主演男優賞を受けた「勇気ある追跡」のリメイク版だということだが、ジョン・ウエインの映画を見ていない。
ストーリーとしては単純で、父親を殺された娘が怪しげな男たちの応援を受けながら仇討をするというものだが・・・映画の評にも紹介されていたが、西部劇は大きく英雄物(おそらくジョン・ウエイン主演の映画はこの類なんだろう)か、残酷物かの二通りだが、この映画は新しい西部劇の分野を開拓したように思う。
ネイティブアメリカンに対する差別行動や、治安維持の怪しさなど、当時の有様をほぼ等身大で描き出しているように感じた。確かに若い女性が一人で仇討を決心し、飲んだくれの保安官と真っ正直なテキサスレンジャーと行動を共にして、志を果たして行くのはハテナの部分もあるが、それを帳消しにするほどのリアリティがある。
奇妙な三人の仇討旅が続く。正邪善悪の入り乱れた世界の中、最後に少女の前で大人二人が「真実の勇気」を見せる・・・・・
飲んだくれ保安官役のジェフ・ブリッジスはジョン・ウエインでは演じきれない(当時は演じることがあり得なかったと言うべきか)「汚れ」と「誠実さ」を見事に演じているし、テキサスレンジャー役のマット・ディモンもプライドが邪魔をしながらも保安官の姿勢に共感する役を見事に演じている。少女役のヘイリー・スタインフェルドも二人の大スターに負けずに素晴らしい演技を見せていた。
単純な復讐劇なのに、エンディングで事件から25年経過した後の左腕を失った女性が歩いてフェードアウトしていくシーンで目頭が熱くなったのは何故だろう。
ノ―カントリーを作ったコ―エン兄弟の作品だ。
勝手評価 ☆☆☆☆☆ 僕の中では5つ星です。