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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

米海軍(Ocean Navy)の即応力について

2018年06月17日 | 軍事

 米海軍の病院戦「マーシー」が東京に寄港した。

 「マーシー」は、5月31日記事に書いたMSC所属の艦で、臨時に乗艦する医療スタッフを除く乗組員は退役軍人を主とする軍属で運行されているものと考えられる。ウイキペディアでは、当該艦は機関等の確認運転のために年間10日程度航海する以外は母港(定係港)に停泊していると書かれているために、通常は基幹要員のみ乗艦しており航海・出動時に要員を補充するシステムで運用されているのではないかと推測する。本日書きたいことは、この様に年間10日間程度しか動かない艦の保持を許容するアメリカの危機管理体制と即応力である。おそらく日本でこの様な艦を保有すれば、会計検査院から「遊休施設・非活動施設」として指摘されると思うが、アメリカでは孫子の「百年兵を養うは・・・」的思考で運用が許されているものと思う。世界中の何処にでも海軍を即時展開できる海軍をオーシャンネイビーと呼ぶが、現在そう呼べるのは残念ながらアメリカ海軍のみである。ここで米海軍の即応力を実感した体験談を紹介。米軍横須賀基地係留中、20㎝近い降雪で国道を含めて全市が麻痺状態となった時、除雪専用車が現れて基地機能を平常の如く維持したこと。まさか、積雪が数年に一度有るか無いかの横須賀に除雪専用車を保有していたとは。30年前のハワイ基地で世界中の海軍基地と専用回線によるダイヤル通話が可能であったこと。日本の主要港湾に海軍後方支援のための代理店を契約していること。等々オーシャンネイビーの即応力と危機管理に対する懐の深さには驚かされる。

 今回の「マーシー」の日本寄港の真意には、在韓米人保護・救出に備えた極東海域慣熟と日本を含めて港湾施設の調査があると思う。米朝融和ムードに浮かれている世相の裏で、オーシャンネイビーは半島有事に対する準備に怠りないことを伝えているのかもしれない。

 

 


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