尖閣諸島の接続水域に中国海軍の軍艦の航行が常態化している。
排他的経済水域での漁船の操業~公船の航行~公船の常駐と徐々にエスカレートを続けてきた中国が、遂に接続水域まで軍艦(水上艦と潜水艦)を出して来たものであり、今後は軍艦による接続水域への常駐~領海侵犯に発展するものと思われる。段階的に既成事実を積み上げて相手側の感情をマヒさせつつ最終目標を達成する中国の手法で、香港の2国制度破壊、スプラトリー諸島の人工島建設、ODAの債務と引き換えにした99年間の軍港租借、等々中国の覇権志向は留まるところを知らない。清朝滅亡の原因となった「阿片戦争」を今回は中国側が仕掛けているようである。新阿片戦争を支えているのが、好調な中国経済であるが、かって(今でも)日本の経済学者は、こぞって「中国経済はバブル景気であり、いつかは崩壊」して「中国元の国家統制は破綻し完全変動相場制に移行して国際競争力を失う」と期待半分に分析していたが、世界の慣例と常識を無視する中国共産党の前には的外れの結果となっている。中国に国際常識や軋轢回避の思慮を求める穏やかな対話努力は既成事実の容認としか理解されず、中国に一歩譲ったことに他ならない。尖閣水域の軍艦派遣に中途半端な抗議で処理しようとした場合、次は軍艦による領海侵犯と領海内遊弋の常態化である。現在は自衛隊艦艇の随伴監視と無線による警告で対処し、領海侵犯時に海上警備行動を発令することで処理しているが、メッセージとしては極めて弱いと思う。
米国には安全上の緊急事態に応じてデフコン1(戦争状態)~5(平時)が定められており、キューバ危機や9.11の際にはデフコン2まで高められた。現在の尖閣水域における中国の横暴は、デフコン3には相当するレベルであると思うので、今すぐ海上警備行動を発令して威嚇射撃程度は行えるようにすべきであると思う。こうなってくると、自衛隊に対するROEの制度を持たない弱みが痛感される。
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