もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

自衛隊のハラスメント

2022年12月16日 | 自衛隊

 海自幹部学校の男性1等海佐と上司の海将補の懲戒処分が報じられた。

 処分の事由と程度は、1海佐はパワハラによって2階級の、海将補は1海佐の行為隠蔽によって1階級の、降任処分とされている。
 降任は免職に次ぐ処分でり、これにによって海将補(定年制除外)は1佐となったために自動的に定年に該当して同日付退職となったが、面目と将来を失った1海佐も依願退職するだろうと思える。
 報道では、「自衛隊でパワハラ行為での降任処分は初めて」とされているが、自分の認識では「降任処分」自体が前例のないように思える。
 2階級降任を民間に当てはめれば、部長が課長を飛び越えて係長クラスに、校長が平教員に落とされることで、全キャリアの否定と同じであるように思う。
 1海佐の言動は、部下の監督・指導に「インテリ野郎」「バカ」「制裁してやる」などと発言し、帰宅するのが難しくなるほどの業務を押し付けたとされているが、自分の経験では「それ位」の程度である。もともと海自は社会通念とは隔絶された男性社会で、教育と叱責(罵詈雑言)は将に紙一重の世界であったので、階級と経験を得た数年後に「そうだったのか」と理解できたことも多い。
 現在、一般社会でも管理職昇任を望まない人が増えているとされるが、自衛隊にあっては給与体系が階級よりも生活給重視に変化したこともあって、30年以上も前から激務を伴う幹部昇任を望まない風潮が蔓延していた。
 人物評価は別にしてパワハラ1海佐の来し方を推測すると、まだ、パワハラの概念が無かった時代に初級幹部として受けた教育指導によって「強権的な部下指導は許容される」と後天的に身に着けるとともに、「社会の変革に対応できなかった・時代遅れの可哀そうな初老域」の存在かと思えば、そこはかとない同情を禁じ得ない。
 同時期に、陸自ではセクハラにとよって免職を含む大量処分があった。

 日本よりも数年以上も早く女性兵士制度を導入した西欧諸国の軍隊でも、いまもって時折にパワハラ・セクハラが報じられ、自衛隊以外の日本社会でもそれらは日常的に報じられる。
 四民平等・ジェンダーフリーは、云うに易く、完全な実現には「現在の40代以上の世代が死に絶える」のを待つしかないようにも思える。


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