もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

防衛3文書の閣議決定

2022年12月17日 | 軍事

 防衛3文書が閣議決定された。

 防衛3文書改訂については、拝金主義的に防衛費増額についてのみ論じられるが、実質は国民に対して国防意識の変革を求めるとともに自衛隊の近代化・強靭化を目指すものと思っている。
 これまでの国防意識は、「日米安保破棄・自衛隊解体」を主張する共産党・社民党支持者を除いて、大方は「国防は日米安保に依存するが日本の負担は局限すべき」であったと理解している。
 また、日本人の国防意識をイビツした背景には、大東亜戦争を含む戦前のアジア政策を全否定する東京裁判史観に立った極端な近隣諸国配慮と平和憲法に配慮した「政局判断」で案出された「専守防衛」と「必要最小限の自衛力」という空疎な概念が、年月を経てもはや国是と考える人々を生み出してしまったことが挙げられる。最悪であるのは、平和憲法が規定する「不戦」条文を「非戦」と解釈することが一般化した結果、敵の侵攻意思を挫く抑止力として有効な敵基地攻撃能力さえ不要とするまでに肥大化してしまったと考えている。
 自衛隊の近代化・強靭化については、5年間で相応の抑止力と継戦能力を拡充整備して、以後はそれを維持するとしている。
 既に軍事音痴となっているので、拡充すべき装備の質&量について判断する能力はないが、これまで「本格侵攻に対する自衛隊の継戦能力は1週間で、米軍の本格支援開始まで持ちこたえられない」とされている継戦能力も向上し、敵の第1撃における国民の人的被害を減らせるとともに、米軍の支援部隊開始まで組織的な抵抗・戦闘が維持できるだろうと期待している。

 防衛費の増額については、安定財源の確保等に侃々諤々の状態であるが、2点の興味深い報道を読んだ。
 1は、デンマークも防衛予算の対GDB比2%を目指しているが、目標達成手段の一つとして、祝日を1日減らすことを計画しているらしい。1日の休日削減がGDPを如何ほど押し上げるかは不明であるが、政府は防衛費捻出のための負担増を国民が共有するためのメッセージとしているのではないだろうか。
 2は、あの輿石東氏(かっての民主党参院のドン)が、「立民も旧態依然の専守防衛固執を捨て、集団的自衛権の容認」に転舵しない限り、党勢回復・政権奪取・若者誘引など期待できない」と発言したことである。現在の立民支持者の多くは高齢者で、必然的に「変革なく余生を全う」することが最大の目的で、憲法・防衛などについては「自分の敷いた線路は正しいので息子にも強要」する家訓を定めた中世辞世者の面影さえある。

 今回の防衛3文書改訂に際して、生涯にわたって非暴力を貫いたマハトマ・ガンジーの言葉、「何人も汚れた足で私の心を歩くことは許さない」、「握り拳と握手をすることはできない」が、心によぎる。


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