もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

赤外線カメラ不正輸出

2017年11月25日 | 社会・政治問題

 国土交通省の防災ヘリに搭載されていた赤外線カメラが、中国に不正輸出された。

 当該カメラは軍事転用が可能な民生品と報じられているが軍需品そのものであり、日本では国交省のヘリを民間機とみなしているに過ぎない。米国では、有事にコーストガード(保安庁に相当)が海軍に編入されるように、公的機関が持つ艦艇・航空機は軍の徴用や統合運用されることを想定して、装備については軍用品が使用される場合が多い。自分が参加したリムパック(環太平洋統合演習)でもコーストガードの艦が訓練(対潜・対空・護衛を含むすべての訓練)に参加していたし、有事に軍が公的機関の航空機と協調する場面は映画でおなじみの光景である。今回は、機器の更新により不要となった中古品の不用意な廃棄がネットオークションを通じて流出したものであるが、最終的に中国に渡ったところを見ると核心部分を壊さない使用可能品として廃棄業者の手に渡ったものと思われる。確かに、核心部分を壊した廃材よりも中古品として処理する方が金銭的には幾ばくかの利を生むであろうが、技術情報の流出による損害は金銭で計り知れないレベルであると思う。アメリカは防諜意識の低い日本に最新の装備を提供することを躊躇するであろうし、そうなれば有事において米軍とのリアルタイムな情報共有に影響しかねない事態すら予想される。海自在職末期には「インターオペイラビリッティー(相互運用性と訳すのか?)の強化」という言葉が多用されていた。主に戦術について使用されることが多かったが、防秘・防諜の面が強化されなければ友邦との連携は不可能であると思う。

 官民を問わず艦艇や航空機の運用・管理に携わる人間は、より高い知識と防諜意識を持たなければならないと思う。


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