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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

徴用工問題に対する日本の非常識行動

2019年01月27日 | 韓国

 韓国大統領府が、極めて珍しいことながら「正論」を述べた。

 日韓外交当局の意見交換の場で、「韓国政府と日本企業が共同で基金を設立する案」を議論したことに対して、大統領府報道官が「発想自体が非常識」と発言したことである。記事からは、外交当局とはどのレベルを指しているのか、日本が提議したのか、韓国の提議に応じたのか、いずれも判然としないが韓国大統領府が非常識とするのは正論であると思う。折りしも日韓外相間で諸問題の解決を模索している時期であることと、韓国大統領府が反応したことを併せ考えれば、外相レベルで議論したことも考えられる。徴用工賠償に対する日本政府の主張は「政府レベルで解決済み」であり、企業に一端の責任を転嫁するかのような基金の設立とは相容れないものである。よしんば基金の設立が実現したとしても、「慰安婦いやし財団」の顛末で明らかなように根本的な解決にはならない。現在の日韓関係は将に砂上の楼閣で、相互信頼という地盤が無いところに外交・軍事・経済の関係が築かれており、この上、徴用工基金という楼閣を積み上げても微震ですら崩壊することは明らかである。韓国内には日本本土に徴用されたと主張する者の他に朝鮮半島で勤労動員された挺身隊を自称する者も存在し、賠償請求予備軍は20万人を超えるとされている。このため、根本的な解決のためには現在の政府見解を堅持して、場当たり的・一時しのぎ的な解決を図るべきではなく、日韓合意に沿って毅然として行動すべきである。国民の生命・財産を守ることが国家の最大の使命であることを考えれば、企業の財産差し押さえ等の蛮行に対しては同等の処置を以て応じることが国民の信頼を獲得・維持する王道であり、迂遠ではあってもそこには近道はないことを、総理を始め全国民が肝に銘ずる必要があると思う。

 現在の日韓関係悪化の原因は、大東亜戦争における罪悪感から近隣諸国とりわけ韓国に対して、配慮という名の及び腰外交に終始した政治家・外務省の失敗の積み重ねであると思う。以前から現実的な対策として広く取り沙汰されていた基金設立の発想が、外務官僚から出たものか、政治家から持ち出されたものか、在野の学者から提案されたものかは知らないが、少なくとも外交関係の公の場で討議される選択肢ではない。話題になっても一蹴すらできずに討議に加わった者が大臣であれ官僚であれ、直ちに更迭して日本の主張を貫くべきであると思う。韓国大統領府が非常識とコメントしたのは正論であり、日本の主張がブレていること、ブレている相手とは交渉できないことを指摘されたものと受け取る必要があると思う。