政府が2月24日に行われる「陛下御在位30周年記念式典」で、顔認証システムを導入する見通しであることが報じられた。
現在、公的に顔認証システムが導入されているのは、国際空港における出入国手続き位であろうが、テロやなりすまし防止のためには、もっと使用範囲を拡大すべきであると考える。顔認証システムを公的に運用することは、先進国である中国でウイグル族の識別・隔離に使用されていることから、国が個人の動向まで追跡・監視できる極めてダーティーなシステムと捉えられているが、後ろ暗い人間以外にとっては自分の存在証明ともなり得るもので、社会生活の安全と利便性の向上に利用できるツールであると思う。顔認証システム精度と利用価値が決定づけられるのは識別能力と蓄積データであると思うが、識別能力については日本の技術は世界のトップクラスであるらしい。問題は照合するためのデータが少ないことであろう。日本が公式に持っているデータは、おそらく服役者等の犯罪者や各国から提供された国際テロリストの顔写真程度であると思う。日本でも既に民間レベルでは、特定区画への入出に顔認証を導入している企業や、コンサートへの入場にも使用されている。世界でも希望者については顔認証データを登録してパスポート等に使用することを制度化している国もあり、日本でも導入を検討すべきではないだろうか。マイナンバーカードを作ったものの、使用したのは2・3回に過ぎず、活用できる場は限られているので、常時持ち歩くのは抵抗がある。顔データを登録しておけば公共機関では顔パスができるとともに、不慮の事故に遭った場合や痴呆徘徊の事態になっても、少なくとも自分であることを特定して貰える(妻子が引き取るかどうかは大いに疑問であるが)。顔認証の識別精度を上げるためには、プリントされた写真よりも電子データの方が有効と思われるので、今回の記念式典ではスマホの撮影・通信機能を活用して顔認証データの登録が行われ、行事終了後は一切のデータを消去することとしているが、記念式典に参加できるのは日本をリードする立場の人々と思うので、当該データは顔認証登録元年の記念として保存されることが適当ではなかろうかと考えるものである。
顔認証システムを公的に一般社会生活に導入することは、国家による監視・統制社会に繋がるとの大きな反対意見があるものと思う。しかしながら、外国人労働者や観光客の大量招致や国際テロル拡大等の内外の環境変化に対して、現行のシステムが果たして万全・最良なのかは検討する必要がある。我々も個人情報と社会の安寧を秤にかけて考え・決断する時期に差し掛かっていると考える。これは、何時かは取らなければならない狭き門ではないだろうか。