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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

厚労省のデータ改竄に思う

2019年01月19日 | 社会・政治問題

 厚労省のデータ改竄の状況が明らかになるにつれ、影響も拡大している。

 事態を収拾するためには、厚労省が調査中としている改竄の開始時期と程度を明確にすることが必要不可欠であるが、実務者の異動・交代、紙データの破棄、事業所の消滅、給付者の追跡、等々の困難が予想され、完全な真相解明と保障が行われることは絶望的ではないだろうかと危惧するものである。既に予想されているところでは、事務経費200億円、追加給付金600億円とされ、閣議決定していた平成31年度予算案も再度閣議に付されることとなった。過去の不祥事の例では当初経費が少なめに見積もられていることは確実で、1000億円を優に超える規模となると考える。動機については憶測の域を出ないが、厚労省には全数調査から抽出調査に変更することで直接経費である調査費用を抑制するとともに、間接的には各種給付金の圧縮すら期待できるとの認識のもとに、組織的に禁じ手・鬼手に手を染めたものと推測する。近年、鉄鋼・自動車・建設・防災等で検査データの改竄が相次いでいるが、民間企業が利潤追求と企業存続のために、又は処遇を求める社員が盲目的に行動することは、あってはならないものの”泥棒にも三分の理”と僅かながら同情するが、公務員の犯罪については到底許すことはできない。海上自衛官としての経験のみであるが、官に幾ばくかの貢献をした場合にも急激かつ直截的に報いられることはなく、副賞の無い賞詞という紙切れを貰えれば良い方で、それすらも以後の補職・昇任・昇給で実感できることは極めて稀である。ではなぜに頑張るのかと云えば、自己の行動が組織を通じて社会に幾ばくかの貢献をしているだろうという自己満足しかないと自分自身や部下にも言い聞かせてきた。厚労省のデータ改竄に話を戻せば、計画・予算執行・解析データ利用等の各部署の意志が統一していなければ絶対に起こり得ないもので、万一、担当者が「基礎データを恣意的に収集」という掟破りの禁じ手を考案・計画したとしても稟議の段階で必ずや是正の自浄作用が働くべき性格のものであることを考えれば、厚労省職員には公僕としての自覚が無く、更には厚労省自体も組織としての体を為していないと考えざるを得ない。

 消えた年金問題で大きな痛手を負ったであろう厚労省、しかしながら、ほぼ同時期に並行して不祥事が進行しており、年金問題を他山の石とする是正も行われなかったことになる。事ある毎に「膿を出し切った」とする官僚の言葉ほど空虚なものは無いといううのが実感である。~まだまだ膿は沢山あることだろう~