ガソリンの小売価格が上昇している。
価格上昇の原因は、世界屈指の産油国サウジアラビアが起こしたジャーナリスト殺害事件やアメリカの対イラン経済政策等による中東不安が大きいと解説されている。中東情勢の変化がなぜ自分の懐に直結するのかと思い、世界の産油国と日本の原油輸入先についてのランキングを調べてみた。産油国では、1/ロシア,2/サウジアラビア,3/アメリカ,4/中国,5/イラク,6/カナダ,7/イランであり、以下、バラマキ・放漫経営で経済危機に陥っているベネズエラが10位、安田純平氏の解放に尽力してくれたカタールが17位にランク付けされていた。一方、日本が輸入する原油の国別ランキングでは、1/サウジアラビア、2/EAU、3/クウェート、4/カタール、5/ロシア、6/イランとなっていた。二つを並べてみると今更ながら日本の経済活動の根幹が中東にあることが実感できるとともに、産油国と輸入元の政情不安や事件は、一月も経たないうちに我々の懐に影響してくることが実感できた。更に原油輸入量の国別ランキングでは、1/中国,2/米国,3/インド,4/日本となっており、産油国ランキングで上位にあるアメリカと中国が輸入量ランキングでも上位にあるのは、将来の石油資源枯渇の事態に備えて、自国の採油を抑制しているためともされている。1960年代までは石油資源は間もなく(2000年頃までと記憶している)枯渇するとされ、朝野を挙げて代替エネルギーとしての原子力平和利用が叫ばれていたものである。その後、海底油田の存在や、原油採掘技術の進歩、サンドオイルやシェールオイルの登場により、少なくとも21世紀中に石油資源が枯渇することは無いとされている。アラブ社会が1枚岩であった1960年に設立された石油輸出国機構(OPEC)は原油価格の統制や生産調整によって世界経済を混乱させて数度のオイルショックを引き起こし、原油とイスラム教を共有するアラブ連邦設立の動きさえあったことは記憶に新しい。しかしながらイスラムの教条対立によりアラブ社会の結束とOPECの統制力が弱まり、原油は市場価格で推移するようになったと理解しているが、原油が現代社会の死命を制する最強の武器であることに変わりはなく、アラブ社会が対西側で大同団結する様な事態になったら世界の混乱は過去のオイルショックなどとは比べ物にならない規模となるものと思われる。
日本も、来るべき石油資源の枯渇に備えての研究開発と代替エネルギーの整備に真剣に取り組まなければならないと感じた一瞬であった。。