もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

連合会長と国民投票に思う

2018年10月13日 | 野党
 連合(日本労働組合総連合会)の神津会長が、「(世論が不確かな今)憲法改正のための国民投票を行うことに懸念する」旨の発言をしたことが報じられた。
 発言は、国政選挙の推薦政党を云々する委員会でなされたものであり、推薦先を立憲民主党と国民民主党のどちらにするかに対して傘下労組が四分五列している状況下での、政党と傘下労組の両方に配慮したものとされている。しかしながら、それらの背景を考慮しても組合員(国民)の意志が直接に反映できる機会に水を差すかの意見は指導者として如何なものであろうか。国民の民意が反映できる一つは国政選挙であるが、国政選挙では経済・外交・福祉等の広範囲の施策について短期的な視点から総合的に判断して候補者に代弁を委任するもので、単一の課題に絞っての意思表示はされないと思う。それ故に、憲法改正案の是非に絞って国民が判断する国民投票そのものを否定するかの意見には賛同できない。まして、今改憲が発議されたら連合指導部の主張が否定されるかもしれない、若しくは連合が内紛状態に陥りかねないというような退嬰的な発想ならば何をか況やの感想である。そもそも、国民投票は、重要な事項に対する世論が不確かであるからこそ直接民主主義の原則に則って解決を目指す方法であり、卑近な例ではEU離脱の是非を問うたイギリスの例が想起される。今イギリスが懸命の離脱交渉を続けているが、EUとの溝が埋まらぬままの離脱になるのではとの観点から外国企業が逃げ出す事態が起きているとともに、北アイルランドの分離独立運動の再燃も予測されているが、それでも英国政府は国民投票の結果を墨守して行動している。このように、国民投票の結果は極めて尊重されるべきものであり、その実施に否定的な連合会長の資質に疑問符を付けたくなるものである。
 これまで労働組合に籍を置いたことも無ければ労働運動をしたこともないので、これを機会にと労働組合について調べてみた。厚労省のデータでは日本の労働人口は約6000万人、労働組合加入者約1000万人のうち、連合680万人、全労連(全国労働組合総連合:共産党系)54万人、全労協(全国労働組合連絡協議会:社民党系)10万人、金属労協(全日本金属産業労働組合協議会)200万人とされている。こう書いてみると、連合は組織された労働組合としては最大のものであるが労働人口に対しては10%程度にしかならず、大きな組織票田ではあっても未組織の労働者を含めた全労働者の代弁者とは言えないのではないかとの結論である。