ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

元祖”無責任男”逝く

2007年03月28日 | 御笑い関連
植木等氏が80歳で御亡くなりになられた。彼の死をマスメディアが報じていたが、「俳優の」という肩書きが多かった様に思う。でも自分の中では「芸人の」という肩書きがしっくり来る人物だった。「芸も糞も無いのに、唯勢いだけでバラエティー番組に出ている。」というイメージが在る「御笑いタレント」では無く、真に芸を持った「芸人」。多芸多才の植木等氏は、正に芸人と呼ぶに相応しい人だった。

ハナ肇とクレージーキャッツの全盛期を全く知らず、ザ・ドリフターズを”御笑いの教科書”として育って来た自分。でも森繁久彌氏の「駅前シリーズ」や「社長シリーズ」と同様に、植木氏の「無責任シリーズ」や「日本一の男シリーズ」はビデオ等で何度も見た程好きな映画だ。「無責任男」と言えば今では高田純次氏の代名詞の様になってしまったが、元祖は誰が何と言おうと植木氏。住職の子息という事も在り、素顔は至って生真面目で常識人な植木氏が、一度ブラウン管やスクリーンに登場すれば、一気に無責任パワーを炸裂させるギャップが素晴らしかった。

昨年末に盟友青島幸男氏が亡くなられた際、その葬儀の場には鼻にチューブを通した植木氏の姿が。体調を崩され、入院していた病院を抜け出しての参列という事だったが、御元気な姿しか見て来なかった自分にはかなりショックな映像で、正直嫌な思いが頭を過ぎった。その嫌な思いが、こんな早くに現実となってしまうとは・・・。

晩年は個性的な性格俳優としての顔を見せてくれた植木氏。飄々とした雰囲気の中、時折見せる寂しげな表情が堪らなく好きだった。そもそも芸人には、役者としての演技にも秀でた人が昔から少なくない。最近の”御笑いタレント”の中には演技が下手では無い者も居るが、「どうだ俺の演技って上手いだろ?」といった思いが透けて見えて来るケースが多く、鼻白んでしまう事もしばしば。だが植木氏の演技にはそういった”邪念”が感じられず、とても感情移入出来る数少ない芸人の一人だった。気持ちが滅入った時、自らを盛り上げる為口ずさんだ「スーダラ節」(”カンカン帽”なんていう言葉も、もう死語になってしまったのかなあ。)や「ハイそれまでヨ」、「ドント節」等。「週刊ポスト」に連載中の彼の自伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」が大好きで、毎週読むのが楽しみだったのに・・・。

今週末、御宝として保存している「無責任シリーズ」を見ようと思う。合掌

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6 コメント

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本物の芸人 (雷座)
2007-03-28 22:14:02
こんばんは。

単なるお笑いタレントではなかったですね。
元々は本物のミュージシャン。
そして本物のお笑い芸人。
俳優としてもクレージーキャッツの映画だけでなく、「平均」として「無責任男シリーズ」で主演し、歌って踊って日本中のサラリーマンに夢と希望を与えた。

この国から本物の芸人が、どんどんいなくなりますね。

ご冥福をお祈りします。
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高田純次は (破壊王子)
2007-03-28 22:45:51
無責任というより「心が無い」というほうがピンときます。

地方都市だと、アタシの出た学校を説明する時、(田舎は東京6大学しか都内に存在しないと思っている人、結構多い)、植木さんがOBです、と言うと反応が違うんですね。

謹んで哀悼の意を表します。
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残念ですね (マヌケ)
2007-03-28 23:59:55
黒澤の「乱」では三男三郎の人間性に惚れこみ戦で加勢する隣国の武将を演じておられ魅力的な役柄でした。 俳優としても晩年は存在感のある演技で主役の脇を固めるいい役者さんでしたね。 ミュージシャンとしてもコメディアンとしてもそうですし本物のエンタテーナーであったと思います。 それから冒頭のジャケットの顔ぶれ、皆さん芸達者な方ばかりで映画でもドラマでも活躍されていましたね。 謹んでご冥福をお祈りします。  
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-03-29 01:25:26
書き込み有難うございました。

2人でやる漫才ですら仲違いして解散する事がまま在ると言うのに、これだけの人数のグループがずっと続いていた(石橋エータロー氏が料理研究家に転進すべく引退はしましたが。)というのは、ハナ肇氏のリーダーシップ&魅力も然る事乍ら、メンバー達が”大人”だったというのも大きいのでしょうね。

歌に御笑いにスポーツにと八面六臂の大活躍を見せるSMAPは「平成のドリフターズ」なんて喩えられていましたが、「SMAP←ザ・ドリフターズ←クレージーキャッツ」という確かな流れが在る様に感じます。クレージー無かりせば、今のSMAPは無かったのではないかと。

嘗て「オヨビでない奴!」というドラマがTBS系列で放送されていました。全てに於いてC調の祖父・父・息子が織り成すコメディー・タッチのドラマで、祖父役は植木等氏、父役は所ジョージ氏、そして息子役は高橋良明氏(元カープの高橋慶彦氏の従兄弟。)が務めていました。高橋(良)氏は18年前に交通事故にて16歳の若さで亡くなられ、そして植木氏がこの度亡くなられた事で、御元気なのは所氏だけとなってしまったのだなあと思うと、一抹の寂しさを覚えます。
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-03-29 01:34:18
記事内の「スーダラ節」をクリックして戴くと、この歌を歌っている植木氏の姿が見られるのですが、冒頭に顔がアップとなった際の彼の目線に注目して下さい。悪戯っ子の様な目の中に、(そういう気は無いのですが(笑)。)何とも言えないセクシーさを感じてしまいます。
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こんにちは (カカト)
2007-03-31 10:33:14
まなぶさんのブログから参りました。

私も週刊現代の連載を楽しみにしてましたので、とても残念です。
早く書籍化してほしいですね。

私も、撮りためてまだ観ていないクレイジーキャッツの映画があるのですが、観ると悲しくなってしまいそうです・・。
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