御笑い番組内のヤラセならば未だ受け容れられるのだが、例えバラエティー番組で在っても感動を喚起しようとして為されるヤラセは大の苦手。ヤラセが判った瞬間に、途端に冷めてしまう。だからこそ、人気番組の「恋愛観察バラエティーあいのり」も初期の頃は見ていたものの、最近では全く見ない状況に在ったのだが、一昨日は久方ぶりに見てしまった。と言うのも、ザッピングをしている最中に”チェルノブイリ原発事故”に付いて触れているシーンに目が留まり、それがたまたまこの番組だったという訳だ。
今から19年以上前の1986年4月26日、旧ソ連政権下に在ったウクライナのチェルノブイリ近郊の原子力発電所4号炉が大爆発を起こした。ウクライナ国内の被爆者数は350万人以上、現在迄の死者数は150万人以上と言われる大惨事だった。現場で働いていた作業員は即死状態、消火活動に当たった消防士も被爆して多くが亡くなったという。当時は「日本を含む多くの国に”死の灰”が降り注ぐ。」と大きく報道され続けていた。事故発生から2日間、ソ連政府はその事実を隠し続けた為、多くの地元住民が逃げ遅れて”二次災害”とも言える被爆に遭う。4号炉はその後、「石棺」と呼ばれる鉄筋コンクリートの囲いで覆われ、4号炉から半径30キロ以内の住民は強制退去させられた。
この番組のディレクターが危険地域内に入り、チェルノブイリ原発の現状をリポートしていたのだが、バラエティー番組とは思えないシリアスな内容だった。4号炉から30キロ離れた所に検問ゲートが設けられていた。中に入る事は出来るのだが、放射性物質が残留している危険な場所。この場所で放射線測定器を用いた所、6マイクロレントゲンを記録。この数値は、通常の自然界に存在する放射線量の約5倍に当たるのだそうだ。*1こんなにも離れた地点で、それも事故から19年以上も経つのに、決して低くはない数値を記録した事に衝撃を覚えた。
ゲートを抜け、ディレクターは車で事故現場に向かう。防護服を着用する事も無く、普通の服で報じている彼に、「大丈夫なのだろうか?」という思いが募る。車は4号炉から16キロ離れたチェルノブイリ市に入る。嘗ては1万6千人もの人が住んでいた街も、今では原発補修工事を半月交代で行う作業員が暮らすだけの街となっている。この時点の測定値は30マイクロレントゲン。自然界の約25倍の数値。
車はドンドン事故現場に近付いて行き、4号炉から4キロ離れた場所に位置するプリピャチという街に入る。嘗ては5万人が住んだこの街は、今や完全なゴーストタウンと化している。測定値は80マイクロレントゲンで、自然界の約67倍に当たる。見ている自分の背筋が寒くなる数値だ。アスファルト舗装された道の上は洗浄されている分、放射線量が低いのだそうで、一歩道を外れて草むらに入ると、放射線量は爆発的に上昇する。と言うのも、水に溶け易い性質を持つ放射線は、雨水等に溶け込んで土や草に蓄積され易いからなのだとか。実際に、数値は163マイクロレントゲン(自然界の約136倍。)を記録していた。元は幼稚園だった建物の中に足を踏み入れていたが、散乱する私物からは、着の身着の儘で逃げ出した住民達の姿が思い浮かんだ。
そしていよいよ、4号炉の正面近くに降り立つ。測定値は537マイクロレントゲン(自然界の約448倍。)を記録。4号炉付近には、防護服を着用して補修を行っている作業員の姿が見える。この中には、今も20トンの核燃料が残っており、亀裂が入った石棺から放射線が漏れ続けているのだという。*2
事故現場から帰る途中、4号炉から8キロ程離れた村に一人の御婆さんと一匹の犬が居るのを発見。本来は立ち入り禁止区域なのだが、「2年前に亡くなった主人と出逢い、一緒に暮らして来たこの村を捨てる事は出来ない。」と彼女は語っていた。こんな危険な地域に・・・。心が痛む現実が此処にも在った。
結局、危険地域に3時間程滞在したディレクターで在ったが、ずっと防護服を着用していなかった様だ。念の為、撮影後に放射線量を測定し、彼は人体に有害とされる量は浴びていなかったという事なのだが、「無謀だなあ。」と思う気持ちは消えなかった。
キエフの病院では、被災者から生まれた子供達を治療する「チェルノブイリ科」が存在しているというが、予算不足で新しい医療機器は揃えられず、充分な治療が施されていないのが現状だとか。弱い立場の者が苦しむ現実というのは、何処の世界でも同じなのだろうか。
最後に出た字幕に言葉を失った。
「(事故現場)周辺の街に再び人が住める様になる迄・・・後600年」
あの御婆さんと犬の姿が脳裏から離れない・・・。
*1 この記事を書くに当たって、幾つか裏取りをしたのだが、通常の自然界に存在する放射線量が、マイクロレントゲン表示でどの程度なのか把握し切れなかった。典型的な文系人間の哀しい性とも言えるが、取り敢えず番組内の報道を事実として以降も記して行きたい。何方かこの件に詳しい方が居られれば、御教示願えると幸いだ。
*2 事故当時、現場で働いていた作業員の遺体は、今も内部にそのまま放置されているのだそうだ。
今から19年以上前の1986年4月26日、旧ソ連政権下に在ったウクライナのチェルノブイリ近郊の原子力発電所4号炉が大爆発を起こした。ウクライナ国内の被爆者数は350万人以上、現在迄の死者数は150万人以上と言われる大惨事だった。現場で働いていた作業員は即死状態、消火活動に当たった消防士も被爆して多くが亡くなったという。当時は「日本を含む多くの国に”死の灰”が降り注ぐ。」と大きく報道され続けていた。事故発生から2日間、ソ連政府はその事実を隠し続けた為、多くの地元住民が逃げ遅れて”二次災害”とも言える被爆に遭う。4号炉はその後、「石棺」と呼ばれる鉄筋コンクリートの囲いで覆われ、4号炉から半径30キロ以内の住民は強制退去させられた。
この番組のディレクターが危険地域内に入り、チェルノブイリ原発の現状をリポートしていたのだが、バラエティー番組とは思えないシリアスな内容だった。4号炉から30キロ離れた所に検問ゲートが設けられていた。中に入る事は出来るのだが、放射性物質が残留している危険な場所。この場所で放射線測定器を用いた所、6マイクロレントゲンを記録。この数値は、通常の自然界に存在する放射線量の約5倍に当たるのだそうだ。*1こんなにも離れた地点で、それも事故から19年以上も経つのに、決して低くはない数値を記録した事に衝撃を覚えた。
ゲートを抜け、ディレクターは車で事故現場に向かう。防護服を着用する事も無く、普通の服で報じている彼に、「大丈夫なのだろうか?」という思いが募る。車は4号炉から16キロ離れたチェルノブイリ市に入る。嘗ては1万6千人もの人が住んでいた街も、今では原発補修工事を半月交代で行う作業員が暮らすだけの街となっている。この時点の測定値は30マイクロレントゲン。自然界の約25倍の数値。
車はドンドン事故現場に近付いて行き、4号炉から4キロ離れた場所に位置するプリピャチという街に入る。嘗ては5万人が住んだこの街は、今や完全なゴーストタウンと化している。測定値は80マイクロレントゲンで、自然界の約67倍に当たる。見ている自分の背筋が寒くなる数値だ。アスファルト舗装された道の上は洗浄されている分、放射線量が低いのだそうで、一歩道を外れて草むらに入ると、放射線量は爆発的に上昇する。と言うのも、水に溶け易い性質を持つ放射線は、雨水等に溶け込んで土や草に蓄積され易いからなのだとか。実際に、数値は163マイクロレントゲン(自然界の約136倍。)を記録していた。元は幼稚園だった建物の中に足を踏み入れていたが、散乱する私物からは、着の身着の儘で逃げ出した住民達の姿が思い浮かんだ。
そしていよいよ、4号炉の正面近くに降り立つ。測定値は537マイクロレントゲン(自然界の約448倍。)を記録。4号炉付近には、防護服を着用して補修を行っている作業員の姿が見える。この中には、今も20トンの核燃料が残っており、亀裂が入った石棺から放射線が漏れ続けているのだという。*2
事故現場から帰る途中、4号炉から8キロ程離れた村に一人の御婆さんと一匹の犬が居るのを発見。本来は立ち入り禁止区域なのだが、「2年前に亡くなった主人と出逢い、一緒に暮らして来たこの村を捨てる事は出来ない。」と彼女は語っていた。こんな危険な地域に・・・。心が痛む現実が此処にも在った。
結局、危険地域に3時間程滞在したディレクターで在ったが、ずっと防護服を着用していなかった様だ。念の為、撮影後に放射線量を測定し、彼は人体に有害とされる量は浴びていなかったという事なのだが、「無謀だなあ。」と思う気持ちは消えなかった。
キエフの病院では、被災者から生まれた子供達を治療する「チェルノブイリ科」が存在しているというが、予算不足で新しい医療機器は揃えられず、充分な治療が施されていないのが現状だとか。弱い立場の者が苦しむ現実というのは、何処の世界でも同じなのだろうか。
最後に出た字幕に言葉を失った。
「(事故現場)周辺の街に再び人が住める様になる迄・・・後600年」
あの御婆さんと犬の姿が脳裏から離れない・・・。

*1 この記事を書くに当たって、幾つか裏取りをしたのだが、通常の自然界に存在する放射線量が、マイクロレントゲン表示でどの程度なのか把握し切れなかった。典型的な文系人間の哀しい性とも言えるが、取り敢えず番組内の報道を事実として以降も記して行きたい。何方かこの件に詳しい方が居られれば、御教示願えると幸いだ。
*2 事故当時、現場で働いていた作業員の遺体は、今も内部にそのまま放置されているのだそうだ。
人間とは、とても利口な動物なのに…どうして、どうして、このような事故を想定して対策をしなかったのか???本当に悔やまれます。身勝手さを感じます。
今の異常気象も人間の仕業なのですよね。
本当に悲しいことです。
将来、子供達が平和に暮らせる様に心から願います。
子どもたちへ「ごめんねーこんなになっちゃったー」と燃え盛る鉄棒をバトンタッチするような感じです。
飛んできました~
このチェルノブイリ原発事故をあいのりで見て、人間って怖いなって思いました。
地球上で一番頭がいい人間は、一番のオバカさんですね。
過ちは二度と繰り返しちゃだめなんです。 核爆弾がどんなものか、どんな影響があるのか、日本の原爆投下やこの原発事故をみてもわかると思います。 同じことを繰り返さないためにも、昔の出来事や戦争について、今まで以上に勉強していかなきゃならないと思いました。
手元にある培風館の物理学辞典をチェックして見ました。
天然のバックグラウンド放射能は年間約90ミリラド
(他の表現を使うと、1回の胸部分レントゲン間接撮影の被爆量がほぼ1年の天然バックグラウンド放射能とおなじだそうです)
放射能の単位には種類によって、いろいろ有りまして
ちょっとわかりにくいですね。
お勧めの本が
「講談社ブルーバックス:人はなぜ放射線に弱いか」
八月書房「危険な話」(広瀬 隆 著)
後のものはすでにご存知とは思いますが…。
えーっと
・そのまま作業員が放置されているのは
「高レベル放射能を出す物体」だからです。
・吸いこんだ細かなちり・埃の中に半減期の長い放射性物質があったら、体内からずっとそれによる被爆が続きます。防護服を着て入れ,とまでは言いませんが、その辺のちり・埃が放射性物質を含んでいる懸念があるからには防塵マスクはしておくべきだったのでは?と。
TBでコチラにお邪魔いたしました。
チェルノブイリの事故は本当に恐ろしく、日本にも原発がある限り、同じような事が起きない保障はないですよね。日本の国土も小さいし・・・他人事ではありません、考えると怖いです。
やっぱり『あいのり』ってヤラセなんですかね?
最近、そんな気もしてるんですよね・・・
この間、パキスタンとインドの国境あたりの「見捨てられた村」に初めて取材をした記者が映っていました。その村は食べ物も後1週間で底をつき、毛布も薬も届かないそうです。その状態を知りながら、記者は小さいリュック一つでカメラマンと取材に行きました。それが、記者の仕事、と言われればそれで終わりなのですが、そんな状態だと知っているのだから、わずかでももてるだけの毛布や、食べ物、薬でもいい。どうして持っていってあげないのだろう?我が家では、夫婦でそんな憤りを持ちました。
「あいのり」でチェルノブイリ原発事故に触れたのがどういういきさつなのかはわからないので、なんともいえませんが、もしも「興味本位」の気持ちが少しでもあるのなら、許せません。だって、地震もそうですが、原発だって、他人事ではないんですから。
原発事故は永遠に等しい時間のかかるものだというのにそんな安易な報道姿勢でいいのか考えさせられます。まったく報道されないというのもなんですが、バラエティに出すのはいかがなものかと。防護服ぐらい着るべきだしできることをするしかないのでは。
東海村の臨界事故が数年前にあったときチェルノブイリを思い出しました。原発事故は身近なものだと考えさせるような番組を作ってほしいです。
おばあさんと犬の姿がとても胸に焼き付いて離れません。
犬は何もしらないのに。と最初おもいました。
でもその子はすごく幸せそうにおばあさんの横にいました。
どんな場所でも、おばあさんと一緒。それがその子の幸せ。
そういう一番大切なことを、人間はどんどん忘れていっていってしまってるような気がします。
心機一転、ブログまじめにやろうかな(?)と思いました。
よかったらまた遊びに来てくださいね。
今、「一生のうちに言ってみたい一言。」やってますので、面白いフレーズがあったら教えてください。
「原子力立地給付金振り込みの交付について」
原子力立地給付金は、国の電源立地地域対策交付金制度に基づき、原子力発電施設等の立地地域の振興および地元福祉の向上を図ることを目的として、原子力発電施設等の周辺地域において電力会社から電気の供給を受けている家庭、企業の方々に対して年1回交付されております。
交付対象者
基準日(10月1日)において、電力会社と電気需給契約を締結されている家庭、企業の方々となります。
交付時期
10月中旬~11月中旬に交付の手続きをいたします。
以上の文言で今年は4,908円交付された。
原子力立地給付金は、別名「原発手当」といってご近所の方がいっていた。
「これで、昆布でも買えってが?」
石巻からさらに女川の原発のそばでは、現実に高齢者の白血病で、年齢制限で骨髄移植が受けられない地域住民も多い。高額な時給のために原発で仕事をなさっていたご主人のせいで、生殖異常で、胎児が死産になるケースも多い。
これから、若い彼らを被爆させた「あいのり」
彼らの恋愛が成就しても、不妊や生まれてきた子供の白血病の発病に対して製作現場は保証していくのだろうか?
さて、我が家の原子力立地給付金は、きざみ昆布にしました。
夫婦二人で逃げようといっても一世帯4,908円ではねえ・・・