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公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立&施行された現代。
超法規的検閲に対抗する為、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!敵は合法国家機関。相手に取って、不足無し。正義の味方、図書館を駆ける!
「笠原郁(かさはら いく):熱血馬鹿。」、「堂上篤(どうじょう あつし):怒れるチビ。」、「小牧幹久(こまき みきひさ):笑う正論。」、「手塚光(てづか ひかる):頑なな少年。」、「柴崎麻子(しばさき あさこ):情報屋。」、「玄田竜介(げんだ りゅうすけ):喧嘩屋中年。」。此の6名が、「図書館戦争」へと突入する。
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アニメ化、そして此の程映画化された有川浩さんの人気小説「図書館戦争」を、遅れ馳せ乍ら、先日読了。「メディア良化法なる法律により表現の自由が奪われつつ在る時代に、超法規的検閲に対抗して戦争に臨む。」という奇想天外な構想を有川さんが練る事になったのは、近所の図書館に掲げてあった「図書館の自由に関する宣言」というプレートに気付いた彼女の夫が、彼女に其れを教えた切っ掛けだったと言う。
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「図書館の自由に関する宣言(抄)」
図書館は、基本的人権の1つとして知る自由を持つ国民に、資料と施設を提供する事を、最も重要な任務とする。此の任務を果たす為、図書館は次の事を確認し、実践する。
第1 図書館は、資料収集の自由を有する。
第2 図書館は、資料提供の自由を有する。
第3 図書館は、利用者の秘密を守る。
第4 図書館は、全ての検閲に反対する。
図書館の自由が侵される時、我々は団結して、飽く迄自由を守る。
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図書館でだったかは忘れたが、そう言われてみれば、此の「図書館の自由に関する宣言」なる文言を見た記憶は在る。でも、だからと言って、其の文言からこんな奇想天外な設定を思い付く事は、当然乍ら無かった。こういった所からも、有川さんの非凡さを感じずにはいられない。
主人公の笠原郁は、高校3年生の時に出会った1人の図書隊員に憧れ、図書隊への入隊を決める。彼女にとって其の図書隊員は“完璧超人”で在り、“憧れの王子様”で在り続ける訳だが、其の“憧れの王子様”の正体は。早い段階から誰だか予想は付いた。だから明らかになった時には、「矢張りなあ。」という感じで驚きは無し。
唯、郁と上司の堂上、そして同期の手塚が見せる気持ちの変化は、思わずニヤッとしてしまった。良い年の“大人”になってしまうと、「若さ故に、御互いに好意を持っているのに、中々其れを認められなかったり、表現できなかったりする等のもどかしさ。」を若い人達の言動に感じて、時には微笑ましく思ってしまうのだが、彼等の言動にはそういった物がチラホラ見受けられるから。
“恋愛小説の女王”とも呼ばれる有川さんの「面目躍如」といった作品だが、“軽さ”の中にも「表現の自由を侵害する危険性」という“重さ”を盛り込む等、読んでいて面白かった。特に印象に残ったのは、「本を焼く国では、何れ人を焼く。」という言葉。作家ハインリヒ・ハイネが戯曲の中で記した言葉を元にしているそうだが、古くは「焚書坑儒」、20世紀で言えば「ナチス・ドイツの焚書」等を考えると、至言と言わざるを得ない。
総合評価は、星3.5個とする。
主人公たちのキャラの立て方から、いずれアニメ化もあると思っていたら、その後確か深夜帯でやってたような。
今はシリーズ化しているようですが、続編まで手を出すほどの魅力は・・・。
悠々遊様も読まれておられましたか。
キャラ立ちした作品ですよね。予算が大幅に削られているTVドラマ界を考えると、戦闘シーン等はアニメか映画じゃないと映像化するのは厳しい感じがしましたが、案の定と言うべきかアニメ化、そして映画化という流れを踏んでいる様ですね。映画では「堂上役をV6の岡田准一氏、郁役を榮倉奈々さん、小牧役を 田中圭氏。」が演じている様ですが、作品を読んでいる時には「堂上役を森山未來氏、郁役を上戸彩さん、小牧役を堺雅人氏。」のイメージを思い浮かべていました。