ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「そして、バトンは渡された」

2019年05月03日 | 書籍関連

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17歳の森宮優子(もりみや ゆうこ)は、17年間で家族の形態が7回も変わった。名乗った名字は「水戸(みと)」、「田中(たなか)」、「泉ヶ原(いずみがはら)」、そして「森宮」の4つで、2人の“母親”と3人の“父親”が居る
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第16回(2019年)本屋大賞を受賞した小説そして、バトンは渡された」(著者瀬尾まいこさん)。17年間で実母実父の他、1人の養母と2人の養父によって育てられた森宮優子を主人公とし、彼女が小学校に入学する直前から、20代前半で結婚するを描いている。


優子が3歳になる少し前、交通事故で亡くなった実母。次から次へと“夫”を変える事になる養母。ルックスの良い実父。年配裕福な養父。頭は優秀だが、何処かずれている若い養父。「17年間で、家族の形態が7回も変わった。」という事実だけからすれば、「“親”の都合で環境がころころ変わり、養母や養父から辛い目に遭わされた、可哀想な女の子。」というのが、一般的なイメージだろう。だが、形はどう在れ、彼等は優しく、そんな彼等に優子は愛され続けて来たのだ。

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「まあ、七割は当たってけどね。梨花(りか)が言ってた。優子ちゃんの母親になってから明日が二つになったって。」。「明日が二つ?」。そう。自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって。明日が二つにできるなんて、すごいと思わない?未来が倍になるなら絶対にしたいだろう。それってどこでもドア以来の発明だよな。しかも、ドラえもん漫画で優子ちゃんは現実にいる。
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「家族の形態は千差万別で、実母と実父に育てられたからといって、必ずしも幸せとは限らない。」というのは、実の親からDV被害を受けた子供のニュースを見聞して感じる事。勿論、養母や養父によって、不幸な目に遭っている子供も居るだろう。そんな当たり前の事に気付かせてくれる、内容的にはハートウォーミングな作品
。そんな所が、本屋大賞を受賞させたのだろう。

だが、「現実感が余り無い作品。」という感じもする。意地悪な味方になってしまうが、優子の周りの人間が、余りにも優し過ぎる様に感じる。からだ。小説なのだから、そういうのも「在り。」なのだろうけれど・・・。

 

「人によって、評価は分かれるだろうな。」と思う。悪い内容では無いけれど、総合評価は星3つとする。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2019-05-04 09:50:18
おはようございます
実の親による虐待・子殺しが頻繁に報じられる時代、確かに周囲が優しい人ばかりというのは作りすぎで不自然、そう見えなくはないですね。
でも、私の場合を引き合いに出すのもどうかとは思いますが・・・一緒に暮らした母方の兄たちはもちろん、離れて暮らしてはいましたが父方の兄姉、さらに父の連れ合いも、私に対し特別な目で見たり排除するような態度をとったりしたことはありませんでした。
だから私も自分の出生を否定的にとらえることなく成長出来たのだと思います。
周りの人たちに恵まれていたと言えばそうなのでしょうが、そのぶん運を使い果たしたのか、くじ運は悪いです(苦笑)。
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>悠々遊様 (giants-55)
2019-05-04 11:50:39
書き込み有り難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

此の作品を読み進めていて、頭に浮かんだのは、悠々遊様の一連の手記でした。義母や義父というと、どうしてもマイナスな面を思い浮かべ勝ち。でも、悠々遊様の如く、必ずしもそうでは無い部分が在る事を改めて知ったからです。

唯、小説とはいえ、余りにも“出来過ぎた感”が在り、其の辺がどうなのかなあという感じが拭えなかった。自分は母子家庭で育ちましたが、周りの人には非常に恵まれていたと思います。一般的な母子家庭像からすると、苦労も少なかった。でも、そんな自分でも、全く辛い思いが無かったかと言えば、そんな事は無い。そういう事を考え合わせると、此の小説はやや“夢物語”の様な感じがしてしまって・・・。

でも、ハートウォーミングで、読後感は凄く良い作品なのは確かです。
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