ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ウルトラマンが泣いている ~円谷プロの失敗~」

2014年02月25日 | 書籍関連

父の叔父達、即ち自分にとっては「大叔父達」という事になるけれど、彼等の中には兄弟で会社を興した者が居る高度経済成長の波にも乗り、其の会社は業績を伸ばし、一時は社内の宴会に有名歌手を呼んだり、TV番組のスポンサーになったりと、可成り羽振りが良かったそうだ。

 

大叔父達の兄弟仲は特に悪く無かったのだが、彼等の子供達(父にとっては従兄弟達)や其の連れ合い等が入社し出した頃より、険悪な状態になって行ったと言う。「自分の子供や其の連れ合いを、より重職就かせたい。」という欲望が大叔父達の間に湧き、又、其れ派閥抗争に利用しようとする部下が出て来る等した事から、そうなってしまったのだが、結局は1人の大叔父だけが残り、後は喧嘩別れの形で会社を去った。

 

社内のゴタゴタに加え、景気の冷え込みが業績を悪化させ、其の会社は大手の傘下に入る事に。残った大叔父と其の子供達は、“親会社”から冷遇され続けたと聞くが、大叔父達の全てが鬼籍に入っ今では、彼等がどうなったのか全く判らないし、知りたいとも思わない。

 

円谷プロダクション通称「円谷プロ」と言えば、パッと思い浮かぶ事が3つ在る。先ずは、「日本に於ける特撮技術”のパイオニア」という事。数多くの特撮作品を生み出した社だが、何と言っても一番有名な作品は「ウルトラ・シリーズ」だろう。「仮面ライダー・シリーズ」と並び、“世界に誇れるヒーロー”を創出した功績は大。

 

2つ目は、「創業家の人々が、概して夭逝している。」という事。創業者の円谷英二氏(初代社長)は68歳、其の長男・氏(2代社長)は41歳、一氏の三男・寛(浩)氏(元俳優)は37歳、英二氏の次男・氏(3代社長)は60歳で、其れ其れ鬼籍に入っているので。

 

【円谷一族家系図】

 

そして3つ目は、嘗てタイガースにも勝る御家騒動の多さ」だ。同族経営の同社では、親族間のゴタゴタが余りにも多く、「『業績の悪化。→他社に呑み込まれた。』という流れの大きな要因とも言われていたし。

 

一氏の次男(英二氏の孫)で在り、6代社長を務めるも、派閥抗争に巻き込まれて1年解任されてしまった英明氏が、円谷プロの内情を記した本「ウルトラマンが泣いている ~円谷プロの失敗~」。ウルトラ・シリーズのファンにとっては、読むのが辛い内容では在るけれど、「こんな状態だったら、円谷プロが駄目になってしまったのも当然だなあ。」と思ってしまう程、“余りにも未熟な内情”唖然

 

有能プロパー社員を育てるのでは無く、番組の制作が決まったら、外部から人材を招聘すれば良い。』という考え方が同プロで幅を利かせていて、そういった“良い所取り&使い捨て”の土壌が、社員達から愛社精神を薄めさせてしまった。、「杜撰過ぎる経理体制。」、看板で在るウルトラ・シリーズに、一本筋の通っコンセプトが無く(コンセプトを守れる人がなかった。)、時代の流れに翻弄されるがウルトラマン過剰に“変身”させてしまった事で、特定の世代にウルトラ・シリーズのファンを、十二分に生み出せなかった。、「親族間トラブルと社内抗争の多さ。」等々。

 

豊臣秀吉は、「稀代の“人誑し”だった。」と言われる。彼に関する逸話からは、彼の陽性気質が感じられ、「稀代の人誑し」というのも納得なのだが、実子・秀頼が生まれた辺りから、残忍さが顔を出して来る。「秀頼に跡を継がせたい。」という思いが日に日に強くなり、親族間の“ライヴァル達”を次々に粛清した秀吉には、嘗ての陽性な気質が感じられない。

 

英二氏の次男にして3代社長を20年以上務めた皐氏が、実子・一夫氏(4&8代社長)に跡を継がせるべく、邪魔な英明氏(皐氏にとっては甥っこ、一夫氏にとっては従兄弟に当たる。)を円谷プロから追い出しただけで無く、今際の際枕元子飼いの役員達を集めて、「一夫を頼む。英明には気を付けろ。彼奴は、円谷プロ本体に戻すな。」と遺言を残したというには、晩年の秀吉を思い出させ、寒々しい気分に。

 

「杜撰な面が余りにも多く、“悪い意味で”中小企業的。」というのが、円谷プロの内情だった様だが、そんな実態でも、あんなにも素晴らしい作品を生み出して来れたというのは驚きで在る。


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2 コメント

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Unknown (透明人間)
2014-02-27 06:30:20
ウルトラファミリーの一員にまず表に出ずマスコミが積極的に取り上げずウルトラマンファンからその存在を無視され時には怒りの対象になってるウルトラマンが居ます
勝手にウルトラファミリーを名乗ってるのではなく円谷プロ公認の人物です
まぁプロレスファンならご存知だと思いますが名はウルトラマンロビンです
ちなみに何故公認を得たかと言うとのぼる氏とロビンが飲み屋で偶然出会った時にロビンがぼる氏にウルトラマンを使わせて欲しいとお願いしたら酔っぱらってたのぼる氏がOKしたそうです(ウルトラは誰が使っても良いけど「マン」は円谷が権利を持ってるらしいです?)
しかしこのウルトラマンロビンは弱くてスケベなのです
youtube
弱さを見るならウルトラマンロビンVSスカルリーパー戦

弱さ+スケベのスケベを見るなら吹本VSウルトラマンロビン戦の最後の方です

ロビンも後チョットで五十歳です
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>透明人間様 (giants-55)
2014-02-27 09:35:22
書き込み有難う御座いました。

「ウルトラ・シリーズ」の知名度を高める為とはいえ、其のシリーズのイメージを考慮せず、何でも彼んでも遣ってしまうというのは好ましく無い。一時的に知名度が高まったとしても、長い目で見たらイメージを低めてしまう事も在りますからね。

私見で言えば、「ウルトラ・シリーズ史上初の“企業タイアップウルトラマン”」とされている「ウルトラマンゼアス」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%82%A2%E3%82%B9)も、ウルトラ・シリーズのイメージを低めてしまった物だったと思っています。当時、人気絶頂だったとんねるず在りきの企画という感じで、主演にとんねるずのマネージャーを持って来る等、ウルトラ・シリーズのファンとしては「悪ふざけが過ぎる!」と腹立たしさを感じたもの。
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