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太平洋を臨む、人口約7千人の港町「鼻岬町」。地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・堂場菜々子(どうば ななこ)には、足の不自由な小学生の娘・久美香(どうば くみか)が居た。夫の転勤が切っ掛けで社宅住まいをしている相場光稀(あいば みつき)、移住して来た陶芸家・星川すみれ(ほしかわ すみれ)という同じ町内に住む2人は、久美香の存在を知り、菜々子と共にヴォランティア基金「クララの翼」を設立するが、些細な価値観のずれから連帯が軋み始め、軈てやがて不穏な事件が姿を表わす。
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湊かなえさんの小説「ユートピア」は、読み進める気力が萎える内容。ストーリー的に“抑揚”が薄いというのも在るが、一番の理由はメインとなっている3人の女性のキャラクター設定が駄目過ぎるから。際立った特徴が無いので感情移入出来ないし、何よりも読んでいて誰が誰だか判らなくなってしまう。
読み終えてもスッキリしない部分が幾つか残るし、後味も良く無い。湊作品には、そういう傾向が強い物が少なくは無いのだけれど・・・。
「『白ゆき姫殺人事件』や『豆の上で眠る』、『山女日記』等、湊作品にはセンスの無さを感じる物が目立つ。」が、今回の「ユートピア」もそんな感じがする。此の内容で、「ユートピア」というタイトルが相応しいのか?自分には、“取って付けた様なタイトル”にしか思えなかった。
総合評価は、星2つといった感じ。