通常20階建て以上の「超高層マンション」の事を、「タワーマンション」と言ったりする。階が高ければ高い程、眺望は良い事だろう。でも、個人的にはタワーマンションに住みたいとは思わない。高所恐怖症では無いけれど、高所にずっと住み続ける事により、何等かの変調を来しそうな怖さを感じるからだ。近年、タワーマンションのヴェランダ等から子供が転落するという事故が後を絶たないのも、「高層階での暮らしに慣れてしまい、“高さ”という物に恐怖心を抱かない“高所平気症”の子供が増えている為。」という説も在る。
「強風が吹いているので、洗濯物を干す際には“落下”しない様、十二分な注意を払わなければならない。」というのも面倒だし、何よりも地震が発生した際の大揺れの恐怖というのが、「タワーマンションに住みたくない。」という思いを増させる。
12月17日付けの夕刊フジに、「本当は教えたくない マンション業界の秘密」という記事が載っていた。筆者は、住宅ジャーナリストの榊淳司氏。彼によると、最近、業界関係者の間で囁かれ始めた事に、「タワーマンションの雨漏り」が在るのだとか。最新の建築技術を駆使して建てられているで在ろうタワーマンションに、何故、雨漏りなんていう初歩的な問題が発生するのかと言えば・・・。
高さを有するタワーマンションでは、荷重負担を少しでも軽くすべく、より軽量な材料の使用というのが考慮される。外壁に「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」で在る“ALC”が多用されるのも、重量が鉄筋コンクリートの約4分の1だから。又、壁にコンクリートを流し込む通常の板状型と比べると、工場から運ばれて来たALCパネルを外壁面に嵌め込んで行くという作業は、スピード化を図れるというメリットも。
で、ALCパネルを外壁面に嵌め込んだ際、パネルとパネルの間の繋ぎ目には弾性目地剤の充填でコーキングし、雨水の侵入を防ぐのだが、タワーマンションは地震や風で良く揺れる為、継ぎ目の劣化が早くなるそうだ。加えて、高層階は風が強い事から、雨が横殴りに打ってくるので、雨水が侵入し易いという状況も。
又、タワーマンションは外観デザインを優先する為、サッシ面が外壁と同一面になっているケースが多く、サッシと壁面の継ぎ目も上記と同じ理由から、劣化して雨水が侵入し易いのだそうだ。
「タワーマンションでは無い普通のマンションの場合、築10年内に雨漏りが生じると、鉄筋コンクリート部分の施工に問題が在るので、欠陥建築に近いと見做されるが、タワーマンションの場合は仮に施工がきっちり為されていても、地震の強さや頻度によって雨漏りが起こり易いと考えられる。」と榊氏は指摘した上で、「40階以上といった高さになると、日々風で微妙に揺れている。」とも。
タワーマンションが劇的に増えたのは、此処20年程の事だとか。比較的新しい建物で在る事から、此れ迄は表面化しなかった問題が、今後は明らかになって行く可能性も在りそうだ。
200年後に健在なものなんてあんのですかね?
意匠性や効率性を優先する余り、結果的に購入者の満足度を下げる商品を売ってしまう。実に本末転倒。
「最新の技術が、太古の昔の技術に適わない。」のだとしたら、とても皮肉な話です。