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「伊原監督退団・・・休養も事実上の解任 西武初のシーズン途中交代劇」(6月5日、スポニチ)
突然の休養宣言に、衝撃が走った。西武の伊原春樹監督(65歳)は4日、西武ドームで行われたDeNA戦後に会見し、成績不振を理由に休養すると発表した。事実上の解任となる。伊原監督は今季、2003年以来11年振りに西武の監督に復帰。しかし、チームは此処迄20勝33敗でパ・リーグ最下位に低迷しており、浮上の兆しも見えない事から責任を取った形となる。5日から田辺徳雄打撃コーチ(48歳)が監督代行を務める。
DeNA戦終了後、伊原監督が緊急会見を開き、突然の休養を表明した。決断した時期に付いて「交流戦の巨人戦で1試合目に負けて、2回戦で(9回に)2点リードしていて九分九厘勝てるかなと思った所、逆転負けを食らった。どうも僕の勝負運が弱いのかなと。」と説明。3日のDeNA戦(西武ドーム)後、フロント陣に意向を伝えた。一度慰留されたものの決意は固く、「優勝すると宣言したにも拘らず、此処迄期待を裏切って、最下位を走って来ている。監督が退けば、良い風が吹く。」と話した。
開幕から53試合目での指揮官交代劇。表向きは「休養」だが、復帰に付いて指揮官は「一寸難しい。」と発言。会見に同席した居郷肇球団社長も、今季の残り試合を田辺コーチに任せるとし「(どうやって休養を明けるか)今の所は一寸・・・。」と事実上の退団を示唆した。
伊原監督は、2002年に監督に就任。年間90勝で2位に16.5ゲームの大差を付けて優勝した。其の手腕が買われて昨年末、1年契約で再就任。「西武は常勝軍団。パ・リーグを牽引しないといけない。」と臨んだが、現実は甘くなかった。
リーグ優勝経験も在る功労者を、シーズン序盤で事実上の解任に追い込むのは異例中の異例。親会社の西武ホールディングスが4月に東証1部に再上場した許り。昨年は球団売却騒動も在っただけに、今季の低迷振りはダメージも大きく、今回の休養は親会社の意向が働いた可能性も否定出来ない。関係者によると、伊原監督は「本当に弱いよ。どうしたら良いのかねえ」と弱音を漏らしており、責任を強く感じていたと言う。「選手との距離感が在った?」の問いには,「其れは無い。僕は息子、娘が居る。選手と同年代。選手を判っている積りだし、ギャップは無かったと思う。」と話した。
選手には、此の日の試合後に自ら説明。コーチ陣には「後は任せた」という言葉を残した。西武創設以来、シーズン途中に監督が交代するのは初めて。しかも開幕2ヶ月余りで、第2次政権の幕を下ろす事になった。
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メジャー出身者としては日本球界初の監督となった元カープ監督・ジョー・ルーツ氏。1975年、彼は15試合を終えた段階で監督を辞任したが、今回の開幕から2ヶ月での伊原監督の辞任、否、実質的な解任というのは、可成り異例な事態で在る事は間違い無い。
開幕から間も無く、対戦した涌井秀章投手(マリーンズ)が制球を乱し、5四死球&3失点にて5回3分の2で降板した事に関し、「涌井はあんなもんでしょ。西武での最近2年位は、4回か5回にスピードや切れが落ちて遣られていた。そろそろ(スタミナ切れ)かなと思っていたが、粘り強く投げていた。」と発言した伊原監督。「粘り強くなげていた。」と口にしている等、涌井投手を評価してもいるのだが、「涌井はあんなもんでしょ。」という部分だけが大きく取り上げられた事で、涌井投手も可成りカチンと来た様だ。
昨季迄ライオンズに在籍し、一時は“エース”と迄称された功労者に対して、「あんなもんでしょ。」という発言をした事は、ライオンズの選手達にとっても決して良い影響は与えなかっただろう。昔から伊原氏には此の手の言動が目立ち、内外にトラブルを生じさせた事も何度か在った。昨年、ライオンズの監督に再就任して以降、無闇矢鱈と「規律」を口にし、選手がカチンと来る様な言動が幾つか在った伊原監督。選手との間に隙間風が吹いている様には感じていたが、今回の解任にはそんな点も大きく影響していたのだと思う。
当ブログで批判する事も少なく無い原辰徳監督だが、師匠の藤田元司元監督には及ばないものの、人心掌握術に関しては可成りの物。最初から上手かった訳では無く、監督として場数を踏んで行く中でブラッシュアップして行った。「チームに影響力の在る選手を叱る事で、他の選手達を引き締める。唯、其の際には、叱る選手の適性を確り見極めなければいけない。気分転換が上手かったり、打たれ強い選手の場合は、他の選手達が居る場で叱り付けても良いが、そうじゃ無い選手の場合は、1対1で叱り付ける。褒めて伸びる選手も居るので、選手の適性の見極めは非常に重要。」というのは良く言われる事だが、実践出来ている(ていた)監督となると稀有だ。
野球ですね。
伊原監督の実質上の解任は残念です。
彼の指導に反発はかなりあったと思います。
しかし、現状のライオンズを立て直すことを考えたら、
しかたないことだと思うのです。
渡辺前監督の方針では、
ある程度の勝利を得ることはできるかもしれませんが、
日本一を得ることは難しいと感じていました。
規律がないんです。渡辺前監督に。
ある程度の勝利であれば、
放任でも行けると思いますが、
日本一を目指すのであれば、
個以上のものがある、
ということをリーダーが示す必要があると思います。
ジャイアンツもキューバからの新戦力がありまずが、
ぶれずに勝利を目指すチーム作りを原監督にしてほしいです。
「兄貴分で、何方かと言えば放任主義の渡辺監督。」から、「父親の年代で、規律に厳しい伊原監督。」というのは、選手達にとって余りにも御極端な変化だったでしょうね。
結局は、「飴と鞭の使い分け」が大事って事なんでしょうね。放任だけではチームは纏まらないし、と言って規律で雁字搦めにしてしまうと、選手達の間に不満だけが高まってしまう。
或る新聞記事が、非常に印象的でした。「ヤンキースでは髭や長髪を禁止する等、非常に厳しい規律で有名だけれど、だからと言って今回のライオンズの様な不満が噴出する事は無い。『君達は優秀だ。でも、他チームと競い合い、世界一になる為には、自らを厳しく律していかないといけない。髭や長髪を禁止するのも、其の為なのだ。』といった、選手達のプライドを損ねない言い方が、伊原監督には欠けていたのではないだろうか。」といった趣旨の記事でしたが、確かにそういう面は在ったかもしれません。