新型コロナウイルス感染症が世界的に、其れも長期に亘って大流行した事で、世の中は大きく変わった。ライフスタイルの変化というのも、其の1つだろう。
4月9日付け日刊ゲンダイに、「「『飲み屋』の倒産 過去最多更新」という記事が載っていた。
東京商工リサーチによれば、2024年度の「酒場、ビア・ホール(居酒屋)」と「バー、キャバレー、ナイト・クラブ」等、飲み屋の倒産件数が、276件(前年度比17.4%増)と、1989年度以降では、過去最多を更新したそうだ。
此れ迄の最多は2023年度の235件で、2年連続して前年度を上回っている。飲み屋の倒産は、コロナ禍で来店客数が激減した2020年度に230件と最多を記録したものの、2022年度は161件迄減少。だが、昨年度の倒産件数は、コロナ禍での締め付けが厳しかった時をも上回ってしまった事に成る。
倒産に到った原因は、販売不振が246件(同18.2%増)と、全体の9割(約89.1%)を占めた。又、個人店が約52.8%を占める等、小規模店が全体の9割に達しているそうだ。
東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博課長は、「食材高騰等の『コスト高』と、人手不足による『人件費増』のダブル・パンチが倒産の大きな原因。馴染み客が多い個人店は、コスト・アップを価格転嫁するのが難しい。値上げすると客足が減るリスクが在るので。コストを抑え様としても、食材を仕入れざるを得ない等、どうしてもランニング・コストが掛かるという事情も在る。本来、客を呼ぶ為に新メニューの開発等も必要なのだが、個人店の多くが効率を考えてメニューを減らしているのが実態。企業の交際費が戻らない為、接待に使われるナイト・クラブやバーの倒産も増えている。」と語っている。
又、外食ジャーナリストの中村芳平氏は、「コロナ禍が、日本人の習慣を変えてしまった。コロナ禍が終息しても、飲み屋へ客が戻らない。2次会は略無く成ってしまった。ノンアルコールを飲む人も増えた。其の為、需要と供給のバランスが崩れ、飲み屋の数が多過ぎる状態。大手チェーン居酒屋も、生き残りに必死。次々に、買収が行われている。業態転換も進んでいる。自分達で業態転換出来無いチェーン居酒屋は、他業態のチェーン店を買収している。何のチェーン店も、『居酒屋の儘では、先行きが苦しい。』と判断している。」と分析。
「チェーン居酒屋の経営は、法人需要に支えられているが、トランプ関税によって、日本企業の経営が一気に悪化する恐れが強い。」と、元記事は記している。
確かに、コロナ禍によって"人との接触"は大幅に減った。飲み会もそうで、自分の場合、「"激減"では無く、"皆無"に等しく成った。」と言って良い。実際、身の回りで店を畳んでしまった飲み屋が何軒か在るし(飲み屋に限らず、飲食店全般に言える事だが。)、「経営は大変なんだろうな。」とは思っていたけれど、昨年度にこんなにも多くの飲み屋が倒産していたという事実に、改めて生き残りの大変さを痛感させられた。