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特許権を盾に、企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来(おおとり みらい)が、相方の弁護士と共に防衛専門の特許法律事務所を立ち上げた。今回のクライアントは、映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られる人気VTuber・天ノ川トリィ(あまのがわ とりぃ)。調査に乗り出した未来は、様々な企業の思惑が絡んでいる事に気付き、一か八かの秘策に・・・!。
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第20回(2021年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞した小説「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」(著者:南原詠氏)は、女性弁理士が主人公。
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・弁理士:知的財産権等に関する業務を行う為の国家資格者、又は国際資格者。
・特許権:特許された発明を独占的に利用出来る権利。
・パテント・トロール:自らが保有する特許権を侵害している疑いの在る者(主にハイテク大企業)に特許権を行使して、巨額の賠償金やライセンス料を得様とする者。
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元エンジニアで在り、現在は企業内弁理士で在る南原氏だけに、「ハイテク関連の特許権を争う。」という今回の作品は、十八番のテーマを扱っていると言えるだろう。
名称は似ていても、弁護士に比べると、一般的な知名度は低いで在ろう弁理士。弁理士なる職業、そしてどういう業務を行うのかは知っていたけれど、「特許を争う上で、具体的に何の様な手続きを取るのか?」等と知らなかったので、そういう点では興味深い作品だった。「パテント・トロール」なる用語も、今回初めて知ったし。
主人公・大鳳未来の「非常に強気な女性。」というキャラクター設定は悪く無い。又、キズナアイで有名となったVTuberを取り上げたのも、面白い着眼点だと思う。
だが、先が読めてしまう部分が結構在り、特に“謎解き”の部分がそうなのは、ミステリーとして致命的。ストーリー的に言えば、全体的に「浅い。」感じがする。
総合評価は星3つ。