最近、taha さんや桃猫さんのところで超絶ベーシスト Michael Manring の "Thonk" というアルバムが取り上げられており、モース先生が参加しているこのアルバムは私にとってもマストです。引っ張り出してきた CD を聞きながら、私も便乗レヴューと思ったのですが、そこはひねくれ者の ghostwind(笑)。Michael Manring つながりで、彼が 80年代にウィンダム・ヒルのレーベル・メイトとともに結成していた Montreux というグループのアルバムを紹介したいと思います。
正直、かな~り久しぶりに聴きました。楽曲自体は結構忘れていましたもの(笑)。Montreux のサウンドは優しく爽やかなアコースティック・ミュージックでドーグ・ミュージックをポップな方向に押し進めたスタイルといえるでしょう。『世界の車窓』でかかりそうな雰囲気といえばわかりやすいでしょうか(笑)。"MONTREUX" という言葉の響きからジャズ的なものを連想される方もいると思いますが、即興性というスタイルにその名残が感じられる程度でメロディ主体の楽曲にジャズ的な要素はあまり見受けられません。
本作での Montreux のメンバーは Darol Anger, Mike Marshall, Barbara Higbie, Tom Miller そして Michael Manring の五人。スペシャル・ゲストとしてドラムには前作 "Sign Language" に引き続き William Kennedy というミュージシャンが参加しています。五人について簡単に紹介しておきますと Darol は私の大好きなニュー・エイジ系のヴァイオリニスト。マンドリンの Mike は以前に紹介した Stephane Grappelli と David Grisman の共演アルバムにも参加していました。本作ではアコースティック・ギターも弾いています。Barbara は Darol とデュオ・アルバムをリリースしたこともある女流ピアニスト。Tom は本作より参加したメンバーでパーカッション、スティール・ドラム、ヴィブラフォンを担当しています。そして五人目は今回 Montreux を取り上げるキッカケとなった超絶ベーシストの Michel Manring 。裏方に徹してはいますが、それでも美しく幻想的なフレーズはフレットレス・ベースならではの素晴らしさです。
オープニングはタイトル曲でもある "Let Them Say" 。ヴァイオリンやマンドリンといったアコースティック楽器がリードをとる、爽やかなメロディと軽快なリズムが印象的な楽曲です。DEPAPEPE 辺りのポップ感覚にも通じるアコースティック・ミュージックですね。ドラムも加わり、よりリズムが強調されている点も、聞きやすい仕上がりになっている一因だと思います。"Astronomics" は『ポップでニュー・エイジ風の DREGS』といったサウンドが心地良いです。"Barbara's Dream" は美しく幻想的なメロディがウィンダム・ヒル・レーベルらしさを漂わせており、ニュー・エイジ・サウンドの王道といった雰囲気です。"Finding Time" ではリリカルな Barbara のピアノをベースに各楽器が優しく被さってきます。Michael のハーモニクス・フレーズで始まる "Road To Vernazza" はフレットレス・ベースのフィーチャー度も高く、彼のファンには聞き逃せない一曲でしょう。個人的に最も気に入っているのが "Mandolin Rising" とラストの "Free D" です。Montreux の五人のメンバーがそれぞれのセンスやテクニックをポップな楽曲に見事に融合させていて、アンサンブルとしては圧巻です。
季節柄、もう一ヶ月前くらいに聴いていたかったかなぁ・・・。今じゃ夜風が冷たすぎるもんね(笑)。