SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

スチリペントールの有効性と安全性に関するレビュー

2015年12月22日 | 治療・予防など

概要:
スチリペントールの有効性と安全性の研究結果を評価した論文を2年後に再評価した論文。
結果、新しいRCT等の研究結果は過去2年間で報告されていなかった。 

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Oct 19;10: Antiepileptic drugs for the treatment of infants with severe myoclonic epilepsy.

背景:
この論文は、2013年に公表されたCochrane reviewを更新したものである。
ドラベ症候群として知られる重症乳児ミオクロニーてんかん(SMEI)は、難治性のてんかんでスチリペントールが追加治療として近年承認された。

目的:
SMEI患者に対するスチリペントールとケトン食を含むその他の抗てんかん薬治療の有効性と安全性を評価すること。

方法:
2015年4月27日にthe Cochrane Epilepsy Group Specialised Register, the Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE(1946年以降のもの)を検索。
機械的に、オンライン研究のClinicalTrials.gov、the World Health Organization (WHO) International Clinical Trials Registry Platformの登録を調査し、追加参考文献として同定した研究報告の参考文献を検索した。
また、手作業で選択した雑誌、会議録を調査し、言語的な制限を除外した。

選択基準:
無作為化比較試験(RCTs)、準無作為化比較試験、二重盲検、盲検、非盲検試験、平行研究で、少なくとも1つの抗てんかん薬を単剤または追加併用治療を、プラセボ追加または非追加治療と比較した研究。

データ収集と解析:
レビュー著者が独自に事前に定義した基準に沿って評価する研究を選択し、評価に用いるなデータを抽出し、研究の方法の質を評価する。
評価項目として50%以上の痙攣発作の減少、痙攣発作消失、副作用、脱落率、生活の質を評価した。
95%信頼区間を用いたリスク比を計算するため、 Mantel-Haenszel meta-analysisを用いて結果を評価した。

主な結果:
更新された研究において、評価に含める追加論文は見つからなかった。
スチリペントール以外の薬剤を評価したRCTは見つからなかった。
過去のレビューでは合計64名の小児を評価したスチリペントールのRCTが含まれた。
両者の研究は一般的にリスクバイアスが不明瞭であったが、偽薬を用いた群と比較して、スチリペントールを用いた群で有意に50%以上の痙攣発作が減少した割合が高かった(22/33 vs 2/31; RR 10.40, 95% CI 2.64 to 40.87).
痙攣発作が消失した患者の割合は、偽薬を用いた群と比較してスチリペントールを用いた群で優位に高かった(12/33 vs 1/31; RR 7.93, 95% CI 1.52 to 41.21)。
脱落率については、偽薬を用いた群とスチリペントールを用いた群間で有意差を認めなかった(2/33 vs 8/31; RR 0.24, 95% CI 0.06 to 1.03)。
一つのみの研究が、明確に副作用の出現について報告しており、偽薬を用いた群と比較してスチリペントールを用いた群で副作用の発生頻度が高かった(100% vs 25%; RR 3.73, 95% CI 1.81 to 7.67)。

著者の見解:
二つの小さなRCTによるデータによると、スチリペントールが偽薬と比較して痙攣発作頻度を50%以上減少させ、発作を消失させるのに有意に有効であった。 
スチリペントールにより副作用の発現頻度は増えた。
SMEI患者の治療においてスチリペントールの長期の有効性と安全性を明確に確立するには、長期期間の経過観察を行った更なる十分な症例数の研究が実施されるべきである。

下記は、2013年の過去の論文。

Cochrane Database Syst Rev. 2013. Antiepileptic drugs for the treatment of severe myoclonic epilepsy in infancy.

STP以外の無作為化臨床試験(RCT)は認められず、2つのRCTではSTPで治療した64名の患児が含まれていた。
報告は両者ともバイアスのリスクが曖昧になっていた。
STPの治療群ではプラセボ治療群と比較して50%以上のけいれん頻度の減少がみられた割合が有意に高かった(22/33 vs 2/31; RR 10.40, 95%CI 2.64-40.87)。
また、けいれん発作の消失が得られた割合もSTP治療群で優位に高かった(12/33 vs 1/31; RR 7.93, 95% CI 1.52-41.21)。
途中で治療を中断した割合はSTP治療群とプラセボ治療群で有意な差は認められなかった(2/33 vs 8/31; RR 0.24, 95% CI 0.06 to 1.03)。
ひとつの研究のみが副反応の発生割合がプラセボ治療群よりもSTP治療群に明らかに高いことを報告している(100% vs 25%; RR 3.73, 95% CI 1.81 to 7.67)。
より適切に症例数を増やした長期の観察研究がSTP治療による長期的な有効性と安全性を明らかにするために実施されるべきである。


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