ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

シナリオ、というもの

2018-12-13 06:48:23 | 思うこと
単なる愚痴のようなものを書きます。

先日放送大学での授業でシナリオの書き方、というのをやっていました。私はむろんシナリオを書いたことなどはないですが映画が好きなので俄然興味を持って観たのです。
授業にはいつもの教師の男性とアシスタントの女性・男性の他に実際の脚本家の女性が登場してシナリオの書き方について説明する、というスタイルでした。
かなり本格的だぞと期待したのですが、内容は脚本家女性が自分の書いたシナリオの男女のセリフの女性の部分を消して、アシスタント男女それぞれがその女性のセリフを考えて書いてきた、というものでした。
???
最初はこれがすごく面白くなるのか、と思っていたのですが男性のセリフやト書きは決まっていますから女性のセリフはかなり限定されてきます。しかも放送される授業でもあるしミョウチキリンなセリフは書いてこないんですよね。
ああああ~~~~。ごくごく当たり前のセリフの応酬。気の強い女と気弱な男という設定でのいつものやりとり~。
ほんっとに日本人て独創性がない、ってこのことだな、と思わされました。こういうのを考えてこさせて面白い脚本が作られるものでしょうか。

離婚する男女の掛け合い、という題材のみ決まっていて男女の台詞を考える、というのならどういう発想をしていくか、という展開もありでしょう。
でも離婚する男女・男のセリフとト書きは決まってる、というのではシュールなセリフでも言わせないと面白いシナリオにはならないでしょう。
結局アシスタント男女の書いたセリフはほぼ同じようなもので当たり前のことしか言っていません。というか先生である脚本家のセリフも当然同じようなもので「お二人とも私と同じようで、上手ですね~」って。
がくり。

まあ、手の内をそうそう簡単に見せられるかよ、っていうやつですか?
しかしそれならそんな授業引き受けて欲しくない、というか、大体こういう授業を企画するほうがつまらないわけですね。

日本のTV脚本はつまらない、というのが常識ですが確かにこれではつまらないものしかできないわけだと納得しました。気の強い女がポンポン文句を言う、なんていうの実際にはそんなになくてもTVだとあふれかえってるではないですか。
まだしもめそめそ言うとか、興奮して方言丸出しになるとか、いろんな方法はありますよね。本当は地底人だとか吸血鬼だとか未来からやってきたとか、そういうのですらありきたりですが色々ありますよね。
普通の男女の普通の痴話げんかを何分も見せられるとかいうTVドラマとか絶対面白くないし、あーだから私は日本のTVドラマ今までも見てこなかったしこれからはもっと見ないな、と確信できました。
現実の脚本家が脚本を書くという授業でごく当たり前のセリフを上手に書いてみましょう、なんて教えていたら日本では絶対に面白い脚本はできないのです。
まだしもネット検索したシナリオの書き方のほうが勉強になりますよ。

例えば今鑑賞中の幾原邦彦作品「輪るピングドラム」前に見た「少女革命ウテナ」のセリフなどは一つ一つにテーマに関した意味が含まれていて無駄がない。動きとセリフ(もちろん音楽や背景なども)の一つ一つにテーマが見えてくるのだと意識して書かなければ退屈な脚本になるのだと思います。
上手とか下手とかじゃなくてすべてのセリフはテーマを指しているのでなければ何故短い時間に凝縮されたドラマがテーマを表現できるでしょうか。
日本のドラマを見ていると退屈ですべてがもう判るから早回ししてくれと言いたくなるのはセリフのひとつひとつに意味がないからなんですね。

ちょっと逆上してしまいました。
いや面白いドラマもありますよ、というご意見もありましょう。
しかし現役の脚本家があまりにぬるいことを教えられていたので落胆してしまったのですよ。
あるある、自然な会話だ、よくこういうこと言うよねー、というだけのセリフで埋まったドラマ、見たいですか?それが上手い脚本ですか?
私は見なくて結構です。

日本のTVアニメ作品(の良いの)はTVドラマのような退屈さはないですし、アニメのほうが深いテーマが描かれていたりします。一体どういうこと、なんでしょうかね?

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