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ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

「ヨルムンガンド」アニメと高橋慶太郎による原作

2018-10-03 06:56:29 | アニメ


タイトルがややこしいですけど、一応今回はややアニメ寄りということで書いていきます。

原作のキャラクターと物語がきちっとアニメで生かされているわけで無論原作者・高橋慶太郎氏への称賛ではあるしこの原作がなければアニメは成り立たないのだけど、これに関してはアニメの出来栄えがなんとも素晴らしく、アニメはあまり再度見ない私が数えきれないほど繰り返し見ているので(まだ見返すつもりはある)これに関してはアニメ寄りになってしまいます。



アニメ側の巧さというのはそのまま当たり前の評価ではありますが、ざっくばらんな印象のある原作作画ををきちっとした形に仕上げて特にアニメーション・動きの部分がくっきりとわかりやすく、しかもかっこよくなっていることにありますね。
加えて声優陣の巧さ、音楽も相乗効果で作品のクオリティを格上げしていて私的にはすべてのTVアニメの十指には必ず入れたい作品です。世代的に全然違う年寄りにも関わらず。

何と言ってもキャラクターが際立って良いことが魅力なのですが、特に主人公ヨナの魅力というのは最近のアニメの中で屈指と言えるべきものでしょう。
私は一匹狼、的な主人公が最も好きなのですが、最近のアニメ・マンガは仲良し集団といったものが多くてこの「一匹狼」的存在は少ないんですよね。一匹狼、的なキャラ、というのは例えていえばブラックジャックとか、百鬼丸とか(手塚だ)カムイとか、あぶさんとか(水島新司)なんかが私の思う一匹狼的なキャラなんですが、今の面白いマンガ・アニメって好きなもので言っても「進撃の巨人」とか「ゴールデンカムイ」とか「刀剣乱舞」とか集団劇が多くて物語としてはおもしろくても好みの一匹狼的存在があまり感じられなくて悲しいんですよ。あえて言えば「進撃の巨人」のなかではミカサが一番一匹狼的に感じて好きです。ゴールデンカムイは大好きですがもうあきらかに登場人物たちのイチャコラで成り立ってるし(いやそこが楽しいんですが)「刀剣」はゲームからのアニメだから仕方ないんですが明らかに仲良しこよしですね。
まあ「ヨルムンガンド」も集団劇なんですが、主人公のヨナだけは子供のせいもあって浮いている。皆の中に溶け込めそうで少し離れている感じが私としては凄い萌えポイントであります。他でよくある、私たちは仲間だよ演出がないのも凄いポイント高いです。あの仲良し演出って時々気持ち悪いですよね。仲良しなのは好きだけど、話としてそこをやたら強調してくるマンガとかちょっと苦手かもですね。

その点、「ヨルムンガンド」のクールさは居心地がいいです。ヨナがココを好きになりながらもココの一番の意志・主張が自分にとって間違っていると思えば去ってしまうというのは、納得のいく方向でした。
しかも一旦疑いを持って離れた後、再び信じる、というのはキリスト教の理想とする信仰の形とも思えます。

次に大きな魅力は女性たちがすごくかっこいいことです。
こういうかっこいい女性が活躍する、というのは案外ありそうでないんですよ。アニメ・マンガでも。
特に頭がいい女、戦闘的な女、狡猾な女が次々と現れて(っていうか出てくる女すべてそうですが)物語を作っている、というのは他にないのではなかろうか、です。
私が思うにこの女性たちは、永井豪の血筋を受け継いでいるのではないかと思っているのですが、昔、永井豪のマンガの女の子たちというのはかっこよくて可愛くて私は最高に好きだったのです。可愛い女の子はわき役でにっこりしてたりわんぱくな主人公の男の子を諭したりするだけの存在にすぎなかったのが、永井豪のマンガでは男以上に強いそして美しくかっこいい存在でした。
その系列というのは続いていそうで案外続いてこなかったんですよ。あれは違うのか、というご意見はあるかもしれませんが、少なくとも有名な売れたマンガにはあまり存在していない。
例えば、ラムちゃんでも違うし(かっこよくない)キャッツアイでも違う(かっこよくないし好きじゃない強くない)最近の変なアニメのは総じて論外(適当だけど、最初から意味合いが違うんで)
「ヨルムンガンド」の女たちを見て「ああ、これだ」って思ったわけです。私がずっと求めていたかっこいい女たちでした。
それはもうココがそうだし、バルメ理想だし、チナツ可愛いし、ショコラーデ楽しいし、アマーリアさんステキだし、ヘックス最高だったし、カレン・ロウ綺麗だし、チェキータさんチェキータさん、まあ何と言っても天田南博士ですね。こういうかっこ強い女性たちが世界を回していく話しかもちゃんと男子も活躍してるって他にないのではないかと思うのですよ。

武器商人が武器のない世界を考える、というのも面白いし、一話一話高いクオリティで人気あったとは思うのだけど、自分としてはもっと評価高くていいのではないかと思うのですが、なんとなく評価あまりされてない感じがしてしまうのはなぜでしょうか。ままま、戦争の話で武器売買の話なんであまり高評価人気絶大というのも避けるべきなのかも、ですが。

まあ若干気になるのは、良い台詞の多くがガンダムから影響を受けすぎてる、ってことですね。他のアニメのものもある感じですが。
とはいえ、私はそういう部分も面白く思って見たりしていました。

影響を受けている、ということでもう一つ。主人公ヨナ、これは萩尾望都「エッグスタンド」のラウールからきてると思うのです。人殺しを容易くやってしまう少年兵であること、姿かたちが似ていること、ラウールの「この戦争が好き」がヨナの「世界が好き」という言葉、戦争を好きというラウールの逆の形として表れていると感じたのです。

これはむしろ反歌のようなもので面白いのではないでしょうか。

まあまあ、人気の度合いとその理由はよくわからねど、こんなにも面白く質の高いアニメを作ってくれたことに感謝したい気持ちでいっぱいです。
この続編は作らない方が良いと思いますので、これで完璧ですが、このような素晴らしいアニメ作品がまた作られなものかと期待するばかりですね。

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