秘伝 木灰造りコンニャクと名付けた

温かい低気圧の接近で冬の雷が雪の暗い闇夜に暴れまわっていた。
新年会のお客さんを送るバスのフロントガラスの前面に一直線の稲妻が走り、周りの雪山もその光に浮き上がった。
迫力があると感動を覚えたが酔客は雷など負けないほどのこりゃこりゃであった。
世の中で一番強いものは女性だねなど思いながら運転していた。
久しぶりの宴会客にグロッキーに近い状態で帰り、前の晩飲みすぎたせいか晩酌は飲みたくなかった。
一人で除雪隊の食事を年末年始に作っていた疲れも出たかもしれないと妻に言ったら、あんた飲み過ぎたのでしょうと一言。
その後母が具わいが悪くなり寝不足。
叔父の念仏など頼まれないのにと思ったが、しょうがないコレも母の人生と黙っていた。
一晩中温かい雨は降り雪もかなり締まった。
日曜日なのに予約は無く人手も有るのでエゴ練とコンニャクつくりをする。
明日東京の店、ななかまどで使い始めるからだ。
おせっかいで他店との差別化でコンニャクを使うべきだと提案したらその気になったのだ。
名は秘伝木灰造りコンニャクといえば好奇心で売れると思うとと言ったためだ。
その気になったのは利益率が良い事かも。
この地方は手作りコンニャクをする人は多いが、皆化成ソーダで固める。
自分もそうだったが、数年前にダンチューに灰汁造りのコンニャクの記事があった。
ただ究極の口福の味だったとのことで作り方など無かった。
それから二年間冬の時期に試行錯誤。
去年はコンニャク球300キロかって木灰つくりはほんの少ししかできなかった。
夏の間事有る時はなぜ出来ないのか頭の隅に置いた。
あるひらめきが有ってそれから出来るようになった。
計算が出来ないので硬くなったり柔らかくなったり。
ソーダ臭さの無いとらえどころの無い触感が気に入っている。
蕎麦には粉山葵を使ってるのにコンニャクは生山葵を使っている。
続く

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