風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2016年 9月30日 金曜日

2016年09月30日 | 仕事場
◆ ロマネスク聖堂の後陣 40号(100 × 85 cm) 第6回

ロマネスク様式の、架空の聖堂の後陣です。




前回の状態








彩色6

洗ってだいぶ白くなっていましたので、再び石の色をつけています。
特に白い石だけは白亜を塗っておき、微粒子の黄土系や朱の具などを薄く溶いたものを刷毛で塗り重ねます。

前回、石の輪郭線を濃いめに描き、しばらく時間を置いてニカワを落ち着かせましたので
刷毛を繰り返し使っても、輪郭線が消えることはほとんどありません。
ただ、微粒子の絵の具が上に乗りますので、輪郭線は当然薄くなります。

かなり均一に描いておいた輪郭線に絵の具が乗って表情が出てきましたが
刷毛を使うのは一旦中断して、また個々の石を描き起こす必要が出てきたように思います。






◆ プレーチの夜 日本画 4号 第2回

イタリア・ウンブリア州の山間部にある街プレーチの夜景です。




前回の状態








彩色2

街灯を入れて夜景らしさを出し始めたところです。


全体にボソボソとしたマチエールになり過ぎているような気がしています。
特に街の表情がカサカサしていて、しっとりとした夜の空気感が足りないように感じます。
ザラザラの紙を使っていることが、少し裏目に出ているのかもしれません。

プレーチらしい段々畑状とも言える街の印象と少し違っていることも気になります。
おそらく屋根の形をしっかり決めていないのが主な原因だろうと思います。






◆ 安曇野の水車小屋 ジークレー下地のパステル(作品ベース) 25.5 × 17.5 cm 第1回

長野県安曇野市穂高にある水車小屋です。
日本画・パステル・鉛筆淡彩などで何度も描いたことがあり
点景として小さく入れたものも含めると10点は軽く超えています。

モデルは大王わさび農園の脇の河畔に建つ水車小屋です。
8話から成るオムニバス形式の黒澤明監督の映画「夢」の内、「水車のある村」のために造られたものです。

10年ほど前に描いた鉛筆・淡彩をベースにしてプリント用画像を作ります。
今回はサムホールなどの既成サイズに合わせる必要がないため
適度な余白を残してA4サイズの紙にプリントできる 25.5 × 17.5 cm にしました。
3号Pより少し小さいサイズです。




原画

カラーマーメイド紙に鉛筆で描き、軽く色をつけたもの。
この画像を加工してプリント用の画像を作ります。







プリント用画像

小屋の上と左の空間を増やし、原画よりも少し下広がりのパースをつけています。
いつものように、このくらい彩度を落としてプリントします。







彩色1

水彩で軽く下塗りしたところ。
この後からパステルを使用します。







彩色2

ソフトパステルを主体に、暗いところや黒いところは水彩を併用して描き進めています。
今までのところ、パステルを定着させるためのフィクサチーフは未使用。
途中で洗うことを想定しているためで、少し描いては霧吹きで水をかける、という作業を繰り返しています。

私の使っている「レンブラント」は、顔料を棒状に固める粘着剤を多めに配合しているようで(色にもよります)
薄く使う限りですが、触ってもあまり落ちませんし、水をかけるだけで定着したかのように落ち着きます。
ただし、フィキサチーフより若干ベタッとした発色・質感になりますし
もとより、水だけでは完全に定着するわけではありません。

この画面は撮影の直前に1回刷毛で軽く洗っているのですが、予想したほど色は落ちませんでした。
特に空に使った淡いグレーはほとんど落ちなかったために
パステルのタッチが浮き出て筋模様になってしまっています。





さて、早いもので今年も残り3ヶ月となりました。
現在制作中の作品は10点と、少々溜まり過ぎています。
今年は個展がないので、久しぶりにゆっくり描こうと思ってはいるのですが
あまりのんびりしていると緊張感に欠ける危険があります。

10月は、今抱えている10点に目途をつけて
11月からは新たな作品に取り掛かれるようにしたいところです。


-------------- Ichiro Futatsugi.■
コメント (2)
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