風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.1

2016年04月07日 | ペンタトニックス
アメリカの5人組ア・カペラグループ「ペンタトニックス」は、2011年のア・カペラコンテスト「The Sing Off」で優勝した後
カヴァー曲を You Tube に発表し始め、何枚かのカヴァー・アルバムを経て
2015年11月に、オリジナル・アルバムとしては初の「PENTATONIX」をリリースし、ア・カペラ史上初の全米初登場1位を獲得しました。
今後はオリジナルの比率を増やしていくと思いますし、それが当然の流れだと思います。

しかし、彼らの人気を不動のものとしたのは、デビュー当初から発表し続けている数々のユニークで秀逸なカヴァーです。
すでにご紹介済みの「ダフト・パンク Daft Punk」が典型例です。
カヴァーの比率が下がったとしても、良い曲を取り上げて、ずっと続けてほしいと願っています。


ペンタトニックスのカヴァーを聴き込んで行くと
オリジナルはどうなのか? それとどう違うのか? 自然とそこに興味が移ってきます。
幸いにも YouTube を使えばオリジナルの検索が簡単にできますし
オリジナルと一緒に並べて比較できる動画も存在しています。

ペンタトニックスのカヴァーする範囲は、彼らと同世代のポピュラーミュージックからクラシックにまで及びます。
現在までに私が捜したオリジナルは約50曲。
その中から数回に分けて、オリジナルとカヴァーを何曲かを聴き比べていただこうと思います。
中にはオリジナルの演奏ではなく、他のミュージシャンのカヴァーをオリジナル代わりに選んでいるものもあります。

ペンタトニックスがカヴァーしているわけですから
先にオリジナル、後にカヴァーという順で載せています。

前回はマニアックなものをご紹介しましたので、今回は雰囲気をガラリと変えて
クリスマスソングを中心としたアルバム「ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー That's Christmas To Me」から4曲。



1曲目は「ホワイト・ウィンター・ヒムナル White Winter Hymnal」

この曲はアメリカのグループ「フリート・フォクシーズ Fleet Foxes」が2008年にリリースしたもの。
クリスマスソングではありませんが、ヒムナルとは賛美歌のことですし、歌詞にも大天使ミカエルの名が出てきます。
土俗的・民族音楽的な響きがあり、ヴィデオのコマ撮り人形アニメと相まって独特の不思議な雰囲気を醸しています。


Fleet Foxes - White Winter Hymnal [OFFICIAL VIDEO]




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] White Winter Hymnal - Pentatonix (Fleet Foxes Cover)






2曲目は「メリー・ディドゥ・ユー・ノウ? Mary, Did You Know?」

欧米では多くのミュージシャンにカヴァーされており
すっかりクリスマスソングの一つとして定着している感がありますが
1991年にマイケル・イングリッシュというシンガーが歌って知られるようになったという、比較的新しい曲です。
マイケル・イングリッシュの歌もYouTubeにありますが、ここでは別の2人のカヴァーをご紹介します。

最初はクレイ・エイケン Clay Aiken というシンガーが2004年にカヴァーしたもの。
クレイはその前年、アメリカの有名なオーディション番組「アメリカン・アイドル」シーズン2で準優勝してデビュー。

Mary, Did You Know with Lyrics




もう一つはシーロー・グリーン CeeLo Green というソウル系シンガーのカヴァー。
この曲はイエス・キリストの生涯を描いた映画「サン・オブ・ゴッド」と
その元になったドラマ「ザ・バイブル」の中で使われているそうです。

CeeLo Green - "Mary Did You Know" [Official Audio]





ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Mary, Did You Know? - Pentatonix







3曲目は「リトル・ドラマー・ボーイ Little Drummer Boy」

これも多くのミュージシャンにカヴァーされているクリスマスソングの名曲です。
異色なものでは、ビング・クロスビーとデヴィッド・ボウイのデュエットというものもあります。

1941年にアメリカのキャサリン・デイヴィスという宗教音楽作曲家が原型を書き(元々のタイトルは異なる)
1958年にアメリカのシメオン合唱団が現在の形にして歌ったものがビルボードチャートの1位に輝いて広く知られるようになったようです。
タイトル画像にシメオン合唱団の名がありますし、絵の雰囲気から
これが1958年にビルボード1位を獲得したレコードのジャケットなのかもしれません。

The Little Drummer Boy (Perfect Version)




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Little Drummer Boy - Pentatonix






4曲目は「キャロル・オブ・ザ・ベル Carol of the Bells」

今回の4曲の中では最も古くからある名曲で
作られたのは約100年前のウクライナということです。
古いだけに、オリジナルと言えるような演奏も残っていません。

そこで、ここでは リベラ Libera というロンドンを本拠に活動する少年合唱団の歌をご紹介します。
今にも精霊が舞い降りて来そうな演奏です。

Carol of the Bells




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Carol of the Bells - Pentatonix







さて、今回のおまけです。
アルバムのタイトルになっている「ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー That's Christmas To Me」を載せる予定でしたが…
急遽変更して You Tube で見つけたばかりの別の曲を取り上げようと思います。
ペンタトニックスとは直接関係ないのですが、メンバーの一人が参加したデュエットです。


曲は「ブラック・イズ・ザ・カラー・オブ・マイ・トゥルー・ラヴズ・ヘアー Black Is The Color Of My True Love's Hair」

オリジナルはジャズ・シンガーのニーナ・シモンが1959年にリリースしたもので
アメリカのピーター・ホーレンズ Peter Hollens というシンガーと
ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプラン Avi Kaplan によるア・カペラカヴァー。

ピーター・ホーレンズは、コーラスの各パートからヴォイスパーカッションまでを全部一人でこなし
それを多重録音しての曲作りを得意とするミュージシャンです。

こちらは、まずカヴァーからお聴きください。


Black Is The Color Of My True Love's Hair - Peter Hollens & Avi Kaplan





Nina Simone - Black Is The Color Of My True Love's Hair



-------------- Ichiro Futatsugi.■

コメント (2)
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