映画感想(ネタバレもあったり)

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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2016年製作の映画) 5.0

2018-05-03 | ネタバレあり
タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2016年製作の映画)
5.0
すっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっごいものを観てしまった。。。

少なくとも韓国映画の中では歴代ナンバーワンじゃない?


ってのは韓国映画の得意の、コメディからシリアスからカーアクションから大殺戮からのてんこ盛り映画系譜がありますが、今回の映画はこのてんこ盛りには意味がある。

これらがてんこ盛りされてるのはこれらが普通の人にとっての日常だから。

この映画の視点はタクシー運転手。
普通の人代表。つまり観客。

普通の生活の描写から映画が始まるから観客は自分を主人公としてこの映画の世界に入り込む。
そして、気づかないくらいじわりじわりと地獄方面へ地理的に移動していく。

そうすると大殺戮とカーアクションの世界。
これらは地続きの世界。
撃たれれば痛いか、死ぬ。
車が横転すれば痛いか、死ぬ。

カーアクションでもひとりひとりの痛みを感じられた。
韓国映画のひとつの到達点でしょう。


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これを観ながら2011年3月11日のことを思い出しました。

完全に同時刻にちょっと離れたところではとんっっっでもないことが起きている、ということは東京にいた僕も体感しました。

とんでもないことが近くで起こっていても、直接影響受けないところではご飯食べて会話して笑って普通の生活をしてた。


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この映画でも何度か地理的な移動をするけど、その都度人の暮らしが全然違う。

さっきまで戦火の中だったのに、時間経過じゃなくて移動しただけで平穏な生活が映し出される。

画面の隅々まで徹底的にリアルだから4D映画のように体感してしまう。


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80年代の日本もチラッと映るけどそれもとても細密で説得力のある美術でした。


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政府が隠したいような近代の負の歴史を、こんなオールスターと制作費で作って大ヒットさせられる韓国映画の力量ハンパない。


ギレルモデルトロが『シェイプオブウォーター』作り、スピルバーグが『ペンタゴンペーパー』作り、韓国が『タクシー運転手』作った。

さて、日本は何作ろう。


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いやいやいやいや、物凄いものを見た。。。


ネタバレと贅沢で失礼な希望はコメント欄に。

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