脚本 アリ・アスター
出演者 フローレンス・ピュー ジャック・レイナー ウィル・ポールター
予想もし得ないことが起こった!びっくり!
という映画ではないですね。
フラグ立ちまくりで「えぇ、絶対この後こうなるじゃん。。」って思ってるとこうなる。
「こんなことしちゃってコイツ絶対ああなるじゃん。。」って思ってるとああなる。。
そのジワジワ感が怖い映画です。
引きずり込まれていく。
それは登場人物たちも同じ。
ウルトラ本気出せば逃げられるけど、一般人はウルトラ本気出しませんからね。
やばいと思いつつも、そこにいる。
で、指示通り動いて、ああなる。。
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四コマ映画『ミッドサマー』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2478
ミッドサマーはフィクションのホラー映画です。
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映像も美術も舞台もキレイだし、頻繁にびっくりすることがおきますけど
全体的にはゆったりと進みます。それが怖い。
ザーンッと話が進んでくれた方が怖くない。
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なので、結構自分のこと考えながら観ました。
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僕は大学の時に宗教学ゼミを取っていました。
僕自身は無宗教ですが、家族には結構な強めの宗教を信じてる人がいます。
家族五人のうち二人がその宗教を信じていて、僕を含めた三人はノータッチです。
ただ、家がそんな感じだったので宗教には客観的な興味があり、向き合わねばならない題材だったので、大学で宗教学ゼミに入りました。
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そのゼミはフィールドワークに重きを置いていたのも、僕には合っていました。
日本のある地方のコミューンに、教授と生徒6人で、5泊6日くらいで調査に行きました。
この調査はそのコミューン(詳細は明かしませんが)からの依頼でもあり
「自分たちは何も悪いことしてないのでちゃんと調査して内情を広めてほしい」とのことで調査に行きました。
行く前は「飲み込まれたらどうしよう」という恐怖があったのですが、行ってみたらそこの人たちは至って普通で優しく、はっきり言って、居心地良かったです。
でも教授は「お前らは絶対ケンカをする」と予言していました。
僕を含めたゼミ生6人は「ケンカするほど仲が良くなかった」ので、全員がケンカをするわけないと思っていました。
が、3日目くらいにゼミ生6人でケンカになりました。
やはり普段と違う生活環境、思想に全員ジワジワとストレスを受けていたのでしょう。
ここで暮らしている人たちは確かに幸せそうでストレスなさそうだし食べ物も全部びっくりするほど美味い。
頭が切り替わって飲み込まれてしまえば、ここで生きるのも幸せだろうなとは思っていました。
ただ僕自身はここで生きていけるほど、いわゆる「理想の生き方」ができる人間ではないので、100パー無理だったのですが。
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なので『ミッドサマー』に出てくる人たちはちょっと見覚えがあったんです。
全然こんな犯罪者集団でもないし、猟奇的な初体験も(たぶん)ないんですけど
この「数十人集まってひとつの生命体」みたいな存在には見覚えがありました。
「個」と「集団」のバランスがおかしいというか。
バランスをとろうという考えすらなく、完全にどう考えても「個」よりも「集団」の方が優位に立っている集団。
僕はもうこういうのが死ぬほど怖いんです。
そういう集団にいる個人を見るのも怖い。怖いというか恥ずかしくなる。
人間の物凄く恥ずかしい部分を見せられている気になる。
ただ、同時に物凄く人間的にも見える。
で実を言うとちょっと興奮する。。
「うわぁこの人飲み込まれてるぅ」と興奮する。。
「さっきと言ってること全然違うじゃん。飲み込まれてるぅ」とアガる。
ちょっと憧れもあるのです。
それは集団の中で生きる技術のひとつでもあると思うので。
自分の中で「個」と「集団」のバランスを取りながら生きる技術。
僕にはそういうのがないので。
だからひとりで仕事してま〜す。
おわり
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四コマ映画『ミッドサマー』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2478
ネタバレは以下に。
ダニーはグルグル永遠ダンスゲームで勝利して「メイクイーン」に輝く。
大屋政子みたいな豪華な服を着せられる。
みんなに崇められてちょっとノリノリなダニー。
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コミューンの住人マヤは初Hできる状態になって、
クリスチャンのことをイケるって思って、クリスチャンに陰毛入りのパイを作ってあげます。
人肉でも入れてるんじゃねえかと思いましたけど、ただ陰毛を入れただけでしたね。
自分の陰毛を口に入れて「うえ、陰毛だ!」っつって吐き出したクリスチャンを見て、マヤはニヤッと笑います。
どういう儀式なんですかね。
あの陰毛に媚薬的な効力があったとは思えないんですが、クリスチャンは離れの建物に導かれます。
そこでウ●コ混ぜましたみたいな飲み物を飲まされて、マヤのバージンを奪います。
クリスチャンのお尻にぼかし入ってるのは本当に興醒めでしたね。。
なんで女性のは映して良くて男の尻はダメなの。。
このぼかしは本当に邪魔だった。
周りには全裸の女性たち。
自分で胸を揉んで「アンアン」言ってます。
正常位で感じているマヤの手を握って「大丈夫よ」的な顔をしているのはマヤのお母さん。
今セックスしてる女性のお母さんが目の前にいることにギョッとしたクリスチャンですが
クスリでキマッてるので問題なし。
見事射精しまして、無事コミューンの中に外部の血が入りました。
賢者タイムを迎えたクリスチャンは、映画始まって以来初めて、正気に戻ります。
賢者タイムは強力ですね。
男は賢者タイムでしか正気を保てないのか。笑いました。
逃げようとするも捕まり、熊の中に入れられるクリスチャン。
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ちなみに
アンアンやってる声を聞いたダニーはこの建物に近寄り、ことの次第を全て見てしまう。
少女とガンガンやってるクリスチャンのお尻を後ろからバッチリ見ます。
大号泣するダニーの周りに女性たちが集まり、ダニーに負けじと号泣します。
大共感。極共感。
ここまで共感されると逆に冷静になれるかも。
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祝祭のラストは9人の生贄を捧げる儀式。
冒頭で飛び降り自殺した老人2名と
外部から来た5名と
志願者2名。
精子を提供したクリスチャンにはチャンスが与えられて
ダニーがクリスチャン以外の男を生贄に選べばクリスチャンは生贄にはならずに済むというシステム。
つってもクリスチャンが生きて帰れるとは思えませんけどね。
殺人現場見てるわけですから。
で、ダニーはクリスチャンを選択。
クリスチャンは生贄に。
自分に冷たくして、ついには裏切ったクリスチャンに恨みをはらしたワケです。
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すでに死亡した4名の遺体(もしくは人形)
志願者2名とクリスチャンが、黄色の三角形の建物に入れられます。
クリスチャンはもう脳ミソが機能していない状態なので、これから何が起きるのかわかっていない。
志願者二人には猛毒の果実(イチイでしたっけ?)をジャム化させた物を舐めさせます。
「これで恐怖が消えるから」と。
そうですかってな感じでペロリとする志願者二人。
火が放たれても、落ち着いていたけど
いよいよ熱いってことになると
恐怖がこみ上げてきて絶叫する志願者。
これが正常な反応。
これが人間の反応。
やはりこのコミューンは異常であると教えてくれる表情。
猛毒の果実の効果を生きてる人間は知りませんからね。
実際に恐怖が抑えられたのかどうか知ることは出来ませんから。
冒頭で飛び降りて、石に当たりそびれて足が明後日の方向に折れたおじいちゃんの絶叫。
あれが人間の正常な反応。
それ以外は異常でした。
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燃える建物を見て、ニヤッと笑うダニー。
ダニーは死ぬまでここから出られません。
おわり。
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観客の女性が「ねえ、なんの映画だったの?」と言っていて、「確かに」と思いました。