映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『生きる』ラストネタバレあり 死に近い人間の異形さ 

2024-06-15 | ネタバレあり

生きる(1952年製作の映画)
上映日:1952年10月09日
製作国:日本
上映時間:143分
監督 黒澤明
脚本 黒澤明 橋本忍 小国英雄
出演者 志村喬 治日守新一 田中春男 千秋実 小田切みき 左卜全 山田巳之助






『生きる LIVING』を先に見まして
元のこちらも観ねば、と。

主役の渡邊は無為に生ききた、という設定だけど
まったくそんなことないじゃんね。

妻を早くに亡くし、幼い息子を男手1人で育てて、勤め先も無欠勤で働き続けてた。

**

戦後日本の必死に享楽的に生きようとしてた社会の背景もいい。

ヒロインの小田切みきの存在感が素晴らしい。
(顔が飯島直子に激似ですね)

渡邊と親しくしつつも
死期間近だと知ったときに
〝死に近い老いた人間〟を気持ち悪く、おぞましく、哀れな表情で
渡邊を見るのが生々しくて素晴らしい。

優しく励ましたり同情したりするのではなく、
軽く「キモっ……」って思ってそう。。

**

死に近い人間の、ちょっと人じゃなくなったかのような不気味な存在である渡邊。

〝志村が『ゴンドラの唄』を歌うシーンでは、黒澤から「この世のものとは思えないような声で歌ってほしい」と注文され〟たとこと。

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終盤は渡邊について役所の人間たちが語り合い、
渡邊という人がどういう人間だったのかを形作っていく。

オチがいいですね。
オチは以下に書きますか。



ラストネタバレ


通夜の終盤で「渡邊さんの意思を継ごう!」と役所の人間たちは熱くなったのに
後日、今までと同じように市民を別の課へたらい回しにする。

日守新一が抗おうと立ち上がるも誰も賛同せず、日守新一も諦める。

結局何も変わらない。

いや、渡邊が作った公園に子供たちの元気な声が今日も空に響いている。







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