京都タワーという奇抜な塔が、京都の駅前にある。
「灯台みたい」とフォローが入るくらいの場違いな存在なのである。
ビルの上に建ったその姿を見ると、ウルトラQに出てきたよくわからん花の怪物を思い出す。
日本の塔史上でも珍種中の珍種。
東京タワーのように塔の支柱に組み込まれる形でビルが存在する例は多いが、ビルの最上階から伸びている例は少ない。
ビルから延びるタワーは骨組みのないつくりで、円筒形の銅版を縦につなぎ合わせてできている。
そんなに珍しい建物ならば、ためしに一度登ってみるのもいい。
前世紀の香り漂う京都タワービルを抜けてタワー展望台へ。
展望台は二層構造になっていて、エレベーターは二階に到着する。
円形の展望台からは京都市街が一望できる。
タワーのアクセントとなっている赤い鉄骨が時々邪魔に思えたりもするが、高層建築の条例の厳しいこの街は見晴らしがとても良い。
碁盤の目状に整備された京都の街の景色はまるで箱庭のよう。
山に囲まれた小さな街のざわざわとひしめき合う音もここまでは聞こえない。
南に目を向けると、京都を分断する巨大な塊、京都駅が見える。
周囲の光を我がものにして輝いている。
寺社拝観が早めに終わってしまう京都の夜は長い。
灯る京都タワー、煌く京都駅ビルは夜の主役といったところだろうか。
京都タワーがなんだか少し色っぽく見えてきた。