Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

松代象山地下壕

2011-02-11 18:51:22 | 甲信越



長野電鉄屋代線・松代駅から歩くこと20分。
右手に現れた象山という山の下にそれはあった。


地下壕と言っても何の地下壕なのか-

 


太平洋戦争末期
政府は東京の皇居・大本営・政府主要機関等を
移転する計画があった。

海から近い平野の東京は本土決戦があった時、
防衛には不利だからである。

その移転場所に選ばれたのがこの松代だった。

松代の地盤は固く、
本州の中央に位置するからだ。

極秘のうちに工事は始まった。

工事には地元住民や朝鮮人が強制的に動員された。

この松代の3つの山の下に地下壕が掘られたが、

終戦で工事が中断されるまでの
わずか9か月の間に全体の約7割が完成したのだという。

工事はダイナマイトで爆破し、破片をトロッコで運ぶという旧式の方法で行われていた。

むろん、事故・自殺・栄養失調などで
死傷者も多く出たと言われている。

そんな場所も戦後は歴史の闇に消えかけていたが
平成元年からこの松代象山地下壕が見学用に整備され
公開された。

見学路の約500mを歩くことができる。

 

入口にある看板。







ぽっかりと口を開けた地下壕・・・・・

ヘルメットを付けて入る。


地下壕の中は暗い、暖かい。
そして誰もいない。

冬休み期間とはいえ平日の昼間なので
あまり訪れる人も少ないのかもしれない。



 




壕内は碁盤の目のように掘られていて
見学路は2回曲がることになる。

通れない通路には柵がしてあり
明かりもないので何だか不気味。

思ったより高さも幅も広いので驚いた。




 


1つ目の角を曲がると急に道が狭くなり
先が見えなくなった。

落石の危険がある箇所は
補強してある。

 

 

すこし進むと広い場所に出た。

ずっと先に外の光が見える。
出ることはできないが、外と繋がった通路もあるらしい。


柵が立ちはだかったら
次は左に曲がる。



その先、
地下壕はどこまでも続いているようだった。

外の音は何も聞こえず
聞こえる音は
自分が地面を踏む音のみ。


地下壕の中には私一人。

前にも後ろにも誰もいない。






不思議な世界だ。

外からすべてが遮断された場所、異空間。


60数年前の現実を
簡単に受け入れることが難しかった。




見学路の最後にあったのは
沢山の千羽鶴。

寂しげな雰囲気でかかった千羽鶴の先には
地下壕が続いている・・・

私は一礼をして折り返した。


この地下壕はあの頃の人々が眠っているのだ。
静かに。

でも何かを伝えている。
この地下壕を通して。



深く考えさせれられる。




急に外の世界に帰りたくなって、
出口を目指す。


 

また2回曲がると外の光が見えた。

私はその光に包み込まれるようにこの地下壕を後にした。


でもこの光のある世界に帰ってこれなかった者たち
見ることが許されなかった者たちがいたこと
それはこれからも忘れてはいけない。



この地下壕・大本営建設についての当時の資料は
残ってないという。


そしてこの壕だけが残った。
だからこそこの地下壕はあの頃のことを語るものとして
これからもあり続けてほしいと思う。



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