オーバーロード2 漆黒の戦士 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2012-11-30 |
読了。
web小説として人気を博していた作品の書籍化第二弾。うおー、超面白かった!
実は僕、1巻を読んだあとでweb版の『オーバーロード』を読んでみたんですよ。
で、その感想というのが、序盤に関しては「つまらなくはないけど、書籍版のほうが面白い」という感じで、しかも物語が進んでいくにつれ、どんどん自分の好みと違う方向に向かっていってしまったため、かなり先行き不安になっていたんですよね。
ただまあ、1巻に限って言えば、大まかな流れはweb版を踏襲しつつも、書籍化にあたって色々と変更が加えられていたので、2巻はどの程度の加筆修正が加えられているのかなと、期待半分不安半分でした。
そしたらもう大当たりでしたね、これがな。
今回の2巻分にあたるエピソードをざっくりまとめると、「世界の仕組みを知るために、主人公が冒険者として社会に潜り込む」&「冒険者としての名声を高め、足がかりを作る」の二点が重要なポイントになっています。で、web版では主人公が自ら冒険者になりすますのではなく、下僕に命令を下すだけでした。
コレ、実はweb版を読んだときに僕が不満を感じていたポイントだったりします。
ぶっちゃけ『オーバーロード』って、(web版では)主人公視点のエピソードというのが想像以上に少なくて、下僕だったり、やられ役の冒険者だったりといった第三者の視点で描かれることが多いんですよね。
たしかにそれもつまらないわけではありませんでしたし、第三者が主人公の圧倒的な力を目の当たりにしてビビったりチビったりする姿と、実際には大して大物ではない主人公の内心のギャップが面白さに繋がっているというのは間違いないんですが、やっぱりラノベとしては主人公視点のエピソードを増やしたほうがいいんじゃないかなーとも思っていたわけです。
なので、これは本当に嬉しい良改変でした。
以下雑感。
・モモンとナーベが二人で冒険者になるというのはマジでワクワクする展開だった。ちゅうか友人と「これって主人公も冒険者として動けば面白いのにね」と話してたので、まさに希望が叶った形。
・余談ですが、元のエピソードのほうが好きという人も大勢いるだろうし、web小説を書籍化するというのは、お手軽にweb上のファンを取り込むという側面もあるだろうから、一概にどうこう言うことはできないですけど、個人的にはこれくらい改変(改善)してくれないとわざわざ本として出す意味がないと思ってます。『SAO』や『劣等生』なんかは舐めた商売してんなーとしか思えないので。信者さんごめーん^^
・で、モモン自身が冒険者になりすましたことで様々な変化が起こるだろうなと思っていただけに、漆黒の剣の連中がweb版同様全滅したのは驚いた。コレはまさしく良い意味で予想を裏切られたってやつで、モモンは決して勇者ライクな性質の持ち主ではなく、どちらかというとむしろ人間の命なんて何とも思ってないダークさによって〝他作品との差違〟を演出するタイプの主人公だったので、書籍化による改稿を経てその持ち味がなくなってしまうという危惧があった。それだけに、漆黒の剣を物語から退場させつつ、モモンの残虐性を薄めすぎることもなく、かといってあまりに邪悪寄りにすることもない、非常に冴えた落としどころに着地させたなーと素直に感心。
・身も蓋もない話、web版は〝やりすぎ〟な部分が目についたからなー。モモンが仲間絡みの話で恐慌に陥るところや、下僕たちの「人間=ゴミ」という思考がいきすぎてストッパー役がいないところなどは良い例だったわけですが、そういうのが全体的に薄まっているのは個人的には大いにウェルカムといった感じ。いやー、マジで楽しい。
こうなってくると、シャルティアが離反したという衝撃の引きもあいまって、続きが楽しみで仕方なくなりますねということで一つ。
『まおゆう』の大ヒットといい、エンターブレインやるじゃん。