ミスマルカ興国物語 VIII (角川スニーカー文庫) 価格:¥ 580(税込) 発売日:2010-12-28 |
読了。
この作品を読むのもえっれえ久しぶりだったので過去ログを調べたら、あの衝撃のラストからすでに半年も経っていたんだなあ。他にも長編を連載している作家さんなので仕方ないっちゃー仕方がないんだけど、続きを心待ちにしている作品がなかなか発売されないというのは悩ましいものですね。
というわけで、『ミスマルカ』シリーズの最新巻。
いつ戦争が始まってもおかしくない一触即発の状況の中で巧く立ち回っていたように見えたマヒロが完膚無きまでに〝敗北〟したことで、今後の展開がひっじょーに気になっていたラノベなんですけど、結論から言ってしまうと更に続きが読みたくなりましたよと。先に読み終えていたQQQさんから「今回は土台作り。あまり進展はないし、一冊使ってプロローグを書いた感じ」などという話を聞いていたんですが、同時に「好きな作品だからそれでも許せてしまう」なんて話も聞いていて、コレには僕も両方とも同意だったり。
や、ここだけの話、七巻のラストを読んだときマヒロに対して感じた「こいつは何かしでかしてくれるぜえ!」という期待感が半端なかっただけに、国民の前で演説をしたあとで演技ではなく腑抜けた状態になってしまったマヒロを見て「え……マジで……? あんな大口叩いたのにマジで落ち込んでるの……? フリじゃなくて……?」的な、言うなればルナスと同様に失望すら感じたのですが。読み終えてみれば、帝国の力を手に入れたマヒロが、いきなりやる気満々で覇道を歩み始めるより、こうして真の意味でのどん底を経験させたあとで立ち直させたほうが後々のカタルシスに繋がるように思えてきました。たしかに八巻は土台作りだったし、いわゆる「第二部」のプロローグを一冊かけてやっただけでしたけど、今回の話も今回の話で面白かったですし、主人公の言動に芯を通すためには絶対に必要なエピソードだったよなと。
……ちゅうか、腑抜けになったマヒロの扱いを決めかね、ヤキモキしながら姉に相談の電話を繰り返すルナスが可愛すぎて、もうね! ある程度は期待していたとはいえ、他の追随を許さぬ圧倒的なヒロインオーラに驚いたよ! 驚いたさ! 『ミスマルカ』に主人公の相方という意味でのヒロインが登場したのって初めてのような気がするんでテンション上がるわー。
それに引き替え、キレイになったとか剣が上達したとか持ち上げられてるパリエルが完全にカマセになってて泣いた。いや、別に泣いてはいないですけど。
や、なんつーか、パリエルがヒロインとしての魅力に欠けているとかではなくてですね。今回の扱いを見ていると、林トモアキさんはパリエルを(マヒロを主人公とした物語の)ヒロインとしてではなく、作品におけるもう一人の主人公として独り立ちさせようとしている感じがするのですよ。そう考えると、元々この二人が惚れた腫れたの関係になるのは想像しにくかった部分ではありますし、意識してそういう距離感で書いていたのかもなあと思えてくるから不思議なものです。正ヒロインの座はルナスに譲ってパリエルは別の場所でガンバレよ! な!
しかしこうなってくるとアレですね。七巻までの展開で敵方のキャラもクドいくらいキャラ立てしていた意味もわかるというか、主人公がこれまで敵だった陣営に属して、これまで味方だった陣営を相手取って戦っていくというのはすごくワクワクする展開ですね。こういうのめちゃくちゃ好きなんですよ僕。エロゲで例えると『ワーズワース』とか『カードオブディスティニー』みたいな感じで(何故エロゲで例える)。
何はともあれ、続きが楽しみですということで一つ。