RPG W(・∀・)RLD1 ―ろーぷれ・わーるど― (富士見ファンタジア文庫) 価格:¥ 651(税込) 発売日:2009-04-20 |
読了。
俺TUEE系ラノベスレで名前が挙がっていたので、内容にはそれほど期待せずに買ったんですが、コレは個人的に大当たり。一巻を読み終わって即続きを読んでみたいと思ったのは久しぶりすぎる。
大ざっぱに導入を説明してしまうと、「ゲーム好きの主人公が、ハマってるRPGの世界の中に入ってしまった」という実によくある内容なんですけど、判る人にだけ通じる例えとしては簡略化した『ソードアートオンライン』という感じ。『スパロボ』でいうと『ソードアートオンライン』がリアル系で、この『RPG W(・∀・)RLD』はスーパー系ですね。ようするにファンタジー寄りの作品ということなんですが、比喩に比喩を重ねるって我ながらわっかりにくいなwwwww
それはともかく、すげー楽しかったんですよ! このラノベ!
文体や内容に、ちょっと古臭い感じが漂ってるのも良い方に転じたというか、なんかラノベを初めて読んだときの感覚を思い出したというか。そうそう、昔はこういうのが多かった。小難しい伏線とか張ってなくて、起承転結がハッキリしていて、読んでる途中はワクワクして読み終わるとスカッとする。で、すぐにでも続きが読みたくなる。
もちろん、こういう単純な話ばかりだと業界が死にますし、僕がこうやって単純な話を殊更に持ち上げるのは、設定に凝った他のラノベがあるからなんでしょうけど、シンプルイズベストを貫く作品の娯楽性はホンットに高いと改めて感じました。
これは常々感じていることなんですが、ぶっちゃけ一冊に「ラノベの要素」を全部ぶち込もうとしたら、これくらいシンプルにしないと追っつかないと思う。この『RPG W(・∀・)RLD』はベタな導入(設定)であるがゆえ、多くの説明を必要としないところに理があって、「RPGってこういうものだよね」とか「ゲームの中に入り込む話ってこういう感じだよね」とか、そういった読者の頭の中に根付いた"共通認識"をベースにできるのがすっごい強み。
そして、設定自体がファンタジー寄りなお陰で、この手の物語にありがちな「どうせゲームなんだろ」というツッコミを封殺できるのもお得。上で挙げたのでまた引き合いに出しますが、『ソードアートオンライン』くらいディティールに凝った世界観になってしまうと、キャラクターが必死になればなるほどに「でもゲームの話っすよねえ」という思いが首をもたげてしまうんだよなあ(フェアリィダンス以降は特に)。よくある「ゲーム内での死=リアル死」という設定も、確定させてしまうと重くなりすぎる感じがしますし、個人的には『RPG W(・∀・)RLD』くらい曖昧にしてくれたほうがいいです。
つけ加えると、章ごとに文章の主体(視点となるキャラクター)が変わるのも、とにかく分かりやすさを重視したこの作品においてはプラスに働いています。特定のシーン(終盤とか)でのみヒロイン視点になったりすると安易な印象を受けますけど、ここまで割り切ってくれると逆に清々しさすら。たまに「このシーンはこのキャラの視点で見たかったなあ」みたいなのはあったにせよ、展開のテンポがいいのでそれほど気になりませんでしたし。
で、トドメとして、こんなふうに全体的にシンプルに仕上がった作品になっているのが、富士見ファンタジア系の「無駄を省く」作りにめっちゃくちゃ合ってるわけです。や、コレはホント富士見向きでした。他だったら微妙になってそうな気がするので、レーベルに恵まれたってことなのかもしれません。
唯一気になるのは、 二人のヒロインがどちらも「萌え」に届かないところでしょーか。
今作は話の流れといい、細かいところのさじ加減といい、ホントに全てが僕好みなんですけど。ヒロインが「物語の登場人物」としては問題なくても、こと「ラノベのヒロイン」として考えるとインパクトがなくて普通すぎるのがマズイかもしれません。今後新キャラでテコ入れしたり、この二人のヒロインで「萌え」られる展開になったりするんでしょーか。
というわけで、感想は以上。
めちゃ楽しめたので、近いうちに続きも読みますということで、ひとつ。
久しぶりに続きを読むのが待ち遠しい作品に出会えたなあ。