朝日新聞社 週刊アエラ 2011.6.20
活性酸素を増やさない
吸着剤や濾過による分離で水から放射性物質を除去する方法はあるが、それ自体をなくす方法はない。ましてや体内に入ってしまえば、排出か難しい。
しかし、放射能から体を守る水がある。日本医科大学大学院教授の太田成男さん(細胞生物学)はこう話す。
「放射線は体内の水分子と反応し、活性酸素を生み出します。放射線の害の8割は、遺伝子を破壊する活性酸素と言っていいが、活性酸素は抗酸化作用の強い成分を摂取することで除去できる。水で言えば、水素水には強い抗酸化作用があります」
中国・上海の第二軍事医科大学の研究では、水素水を飲ませたマウスとそうでないマウスに強い放射線をあびせたところ、普通の水を飲ませたマウスか10日ほどで9割5分死んだのに対し、水素水を飲ませたマウスは2割しか死ななかった。同様の実験は世界中で行われており、アメリカ航空宇宙局(NASA)も放射線対策に水素水の研究を始めているという。
水素水はインターネットなどで購入できるが、値段も高く、まだまだ一般的ではない。
太田さんは言う。
「過剰な心配や避難生活のストレスから活性酸素を増やすことのほうが、がんのリスクが高まる。いまの線量なら、喫煙や運動不足、野菜不足よりもがんのリスクか高まることはない。正しい情報を得て、冷静に対応してもらいたい」
編集部 渾田晃宏
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