今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

症例プレゼンテーションで何を教えるか?

2008-05-15 05:51:07 | 教育
今回を入れてあとわずか2回です

非常勤の指導医としておじゃましている市中病院にいけるのは


普段のパターンは
    午前 初診外来、救急外来の指導
    午後 前半 初期研修医用カンファ
       後半 後期研修医用カンファ なのですが

この時期は新しい研修医の先生がいますので、彼らに集中的にプレゼンテーションを学んでもらうためにスケジュールが変わります

今日は
 午前中 1年目用にプレゼンテーションを主眼とした症例発表
 午後 前半 2年目のカンファレンス
    後半 後期研修医のカンファレンス

一日中カンファレンスをすると、さすがにしんどく

午前中の終わりがけに、リクエストが有ったので心エコーで心嚢水をみるためのBSTをしたのが良いchange of paceでした


一年目のプレゼンテーションですが、今年は彼らと数回過ごしただけで、私がいなくなってしまうので、なるべく学んでほしいポイントを絞る必要が有ります

「診断に至るには病歴で7割、身体診察で2割のあたりを付け、その後の検査等は確認作業である」とよく言われますが

その通りだと思います

それは言い過ぎだと昔は思っていましたが、症例検討のカンファレンスの指導をするようになって

「本当なんだ~」と実感しています

それを何とか伝えたいのです

臨床経験が浅い人がプレゼンテーションをすると、得てして病歴が薄くなってしまいます

今回は幸い「COPDの患者さんの息切れと発熱」というケースがありました

まずはメインの息切れに対してWWQQAAA(Double Q triple A)
で病歴をのばし

下記のポイントで鑑別診断をあげ
  • コモンな疾患、緊急性の高い疾患、見逃しては行けない疾患
  • 解剖学的切り口、病態生理の切り口
  • 病態生理にはVINDICATE+P
4つのコモンな疾患、2つの緊急性の高い疾患をピックアップし
(他にも鑑別はありますが、あえてしぼって)

それらの鑑別に対応するROSでさらに病歴をつっこみ

残りの身体診察と検査の結果は、先の鑑別での話の確認作業のみ

伝えたいこと(病歴が7割、身体診察が2割)を伝えやすい展開で、最後の締めくくりにティーチングパールとして明確に伝えたつもりですが、本当にそれが伝わったかどうか?心に残ったかどうか?

自分がそのつもりでも、受け取る方が受け取っているとは限りません

いっそのこと最後のセッションは

「病歴だけプレゼンできるように濃厚に準備してください。それ以降はカルテを参照すれば良いので、用意しなくても結構」

ここまで言い切って準備してもらうのは、どうなんでしょう?

ただ選んだ症例が内分泌疾患だったりしたら、意外と病歴でしぼりこめなかったりして・・・

次回が最後なんだよな~。

Last lecture by Randy Pauschとまで大きくは有りませんが、メッセージ性の高い一日にしたいです

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