相当な熱意なのか?
なんらかの目的なのか?
それとも・・・如何ともしがたい理由?
いやいや、ただの習慣か?
走るモチベーション。
走る理由。
ましてや義務では無いし・・・
山の木々はもうすっかり葉を落として寒々しく、
この季節にむき出しのオートバイは、なんだか居心地が悪い様子に見える。
もちろん当の本人(銀ジィね)はそんなことちっとも意に介せず、
空気で冷やすエンジンは却って快調で、
凝縮された冷たい空気を吸い込んでいっそう力強い。
山口百恵の「湖の決心」がおっさんの頭の中でヘビーローテするような、
冬景色のダム湖は、本当に寒くて、さびしかった。
こんなに寒いのに、こんなに北風が冷たいのに、
陽の射さない山影の道路は黒々として不気味なのに
どうにもジッとしてはいられずに、
結局、なのにボクらは走るだ。
理由や、目的に収まらず、ただただ走らずにはいられないから。
それは熱意と云うより、衝動に近い。
〇
先週お別れを云ったばかりなのに、
いつものコースで山へ上がって行った。
何だか細かい白い灰のようなものが一杯舞っているなーと思ってたら
融けかけた雪だった。
みぞれまでいかない、小さな破片だ。
千万町までは何とか平気だった。
茅葺屋敷の軒にはこないだから柿が干してある。
もうずいぶん萎んできたね。
冬のカサカサとした日差しがまだここは一杯だけど、
やっぱり雪の欠片がふわふわと飛んでくる。
作手の方を見遣ると上空が真っ暗だった。
ホントは今日はここで折り返すつもりだったけど、
路面がしっかりと乾いていることに気を良くして
さらに進む。
ひと山登って作手に出ると、
空気ははっきりと分かるくらい温度を下げた。
銀ジィに乗る時は冬でも薄手の皮手袋だけど、
さすがに指先が冷たくなってくる。
少し頭を下げて、風の流れをかわし、カウルの中にすっぽりと隠れて走る。
4000rpm。
タペット音が鳴りを潜め、360°クランクの断続的な排気音に包まれる。
まあ、云ってもそれほど寒くはない。
路面がシビアなコンディションにならないくらいの寒さは、
耐えられる範疇だ。
ガキの頃は初日の出を見に伊良湖岬へ行くのでさえ、
ジーパンとスニーカーだった。
(凍えて鼻水と涙が止まりませんでしたけどね)
でも、オートバイに乗りたかった。
今だってそうだ。
寒いけどこれくらいなら耐えてでもオートバイに乗りたい。
けれど耐えてまで?と思わない訳でもない。
〇
結局、いつもどおり作手の涼風の里まで来ちまった。
ずーっと雪みたいのが舞っていて、止まると寒さが沁みてくる。
あれ不思議だよね。
何で走ってるより止まった方がサブいんだろうね?
な訳ないんだけど、絶対止まってる時の方がサブい。
作手はすごい天気が悪かった。
遮るものも無くて、ここは風も強い。
ヘルメットもとらずにシリンダーヘッドで指先をほぐし、
暖かいコーヒーで一息入れる。
さびーーー!
まじで、もう来週は無理だな。
ボクも好きですねー、冷えて帰った後のフロ。
ワインディングを思いっきり楽しんで走ることはできないですけど、
乗ってるだけでもうれしくなります・・・バカですね。
何がそんなに楽しいのか分かんないんです。
ノッティーさんも、良いお年をお迎えください。
オートバイって足らないことを楽しむものだとボクは思っています。
どんどん付け加えるんじゃなくて、どんどん取っ払う。
そして、良いと思い込んだものなら、トコトン使い倒す。
巷に流行るエコとか節約とは次元の違う贅沢でしょ?
やせ我慢こそ男の美学(死語?)と信じる化石おやじです。