サクラの開花が話題となる平和な国のこの頃
賃上げとは無関係なボクの春だけど
少子化や海の向こうの戦争とも無関係なおっさんの春だ
社会に住まう以上、無縁ではなかろうよ、と云われそうだが
春の穏やかな日差しだけは
人類共通の喜びとして有難く頂こう
新東名 新城ICから国道257号線で
豊川をたどっていくと
思わず満開のサクラに迎えられた
正に文字通りの満開
山里の厳しい冬の寒さの向こうにまた巡ってきた春
木々や花々、鳥や獣たちの弾むような喜びに満ちていた
百花繚乱
とは云え奥三河の春はまだ浅く寒い
茶臼山では残雪でスキーをする人たち
標高1,000mを超える高原には冬の冷たい風が吹きつけて腹が冷える
日差しを受けていれば暖かいので
椅子に座って日向ぼっこ
コーヒーが旨い
お菓子のパックがパンパンの高原
バイクブームと云われているようだけど
なるほど平日でもオートバイの姿を見かけるようになった
でも事故を見かける頻度も増えてる気がする
分母が増えてるから当然といえば当然なんだけど
おっさんの死亡事故のニュースも多い
今日来る途中にも
千万町の集落の中の緩いカーブに
フロントが折れて車種も不明なほどつぶれたアプリリアがころがっていた
くれぐれも命を大切にと祈るばかりだ
事故は誰の上にも突然降りかかり
数秒で命を落とす
前方に意識を集中することが何より大事だ
モトブログと称して走りながら講釈垂れてる動画を目にするけど
そんなに運転中に余裕ぶっこいてて大丈夫かい
僕には無理だね
気が緩んでるな、と感じるだけでゾッとするくらいだから
そういえば、立ちごけもよく目にする
立ちごけ、甘く見ない方が良い
それにしても春
春の花に「ゆきやなぎ」がある
「雪柳」
細く長い柳のような枝先に雪が降り積もったように
小さな真っ白い花が無数に咲き
早春の風に揺れる様は華やかで美しい
子どもの頃、もう50年以上前のこと
岡崎公園にはこじんまりとした遊園地があった
バッテリーカーとか、外周をゆっくり走る汽車とか
ゴンドラが10個もないような観覧車とか……
若い両親と兄と、生まれたばかりの妹
花見に訪れた日曜の午後、ここで遊んだ記憶が
ボクの数少ない家族の記憶だ
今では機械仕掛けの遊具は撤去されて
滑り台やブランコが置かれて僅かに面影を残すのみだ
サクラの季節になるとそのサクラの根元に雪柳が一斉に咲き揃う
数年前にその遊園地跡を懐かしさから訪ねた時
撤去された遊園地の後に咲く雪柳の光景の美しさに
少し涙ぐんでしまった
若くして亡くなった父
そのあと苦労してボクらを育ててくれた母
時間に埋もれて記憶はやがて消えていくのだろう
けれど風に揺れるゆきやなぎはそっとボクにささやく
「だいじょうぶ、全部覚えているよ」と