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◇企業システム◇IHIグループのストレージ・クラウド構築を日本IBMが支援

2009-11-25 09:43:52 | クラウド・コンピューティング

 【クラウド】日本IBMは、IHIグループにおけるITシステムの開発・運用を担う子会社であるIHIエスキューブがIHIグループ向けに提供するストレージ・サービスのシステム環境において、ディスク・ストレージ製品「IBM XIV Storage System」を提供し、ストレージ・クラウド環境の構築を支援した。新環境は10月18日から稼働している。新たに稼働したストレージ・クラウド環境では、仮想化技術を活用することによりデータを自動配置しているため、ユーザーや管理者はデータの保存領域を意識することなく使用および管理ができる。また、提供容量や搭載アプリケーションなどに応じたストレージ構成を組む必要がなく、ユーザーからの使用要求に対して、従来よりも迅速かつ柔軟に対応することができる。さらに、一括してウイルスのチェックを行うため、一定のセキュリティー・レベルを保つこともできる。(日本IBM:09年11月19日発表)

 【コメント】これまでクラウドコンピューティングについては、サーバーおよびサービスに重点が置かれ、ベンダー各社もこれらを中心に発表を行ってきた。最近になりクライアントの仮想化についても、徐々にではあるが関心が向けられ、クラウドもより幅広いものになろうとしている。今回、日本IBMが発表したのはIHIグループにおけるストレージ・クラウドの導入事例だ。ストレージは、今後データの分析、すなわちBIやデータの検索を行う際には、重要な役割を演じることになるので、ストレージ・クラウドへの関心は徐々に高まりをみせることになろう。

 今回IHIグループが構築したストレージ・クラウドは、転送速度の速いファイバー・チャネル・ネットワークに接続したディスク・ストレージの一部に、ファイル・サーバーの機能を追加した「SAN/NAS共用システム」と、テープ・ストレージで構成されSAN/NAS共用システムでは約70テラバイト(TB)、テープ・ストレージでは、約490TB(圧縮時)の容量を備えている。同環境においては、容量拡張と運用・管理が容易で、障害からの復旧が速く、信頼性の高いストレージ製品「IBM XIV StorageSystem」が活用された。

 「IBM XIV Storage System」は、データを管理単位である1メガバイト(MB)の論理区画に自動的に分散させ、複製データとともに二重に保存する。データ保存密度を平準化することで安定した性能を提供し、また、常にすべてのデータのコピーが存在する状態を自動的に保つことで、データの信頼性を高める。また、障害が発生した際には短時間での復旧が可能で、例えば、容量1テラバイトのHDDを復旧させる際に、RAID-5などを組んだストレージ・システムでは6~25時間かかるところを「IBM XIV Storage System」では約30分で復旧でき、二次障害の発生確率を低減できる。

 ストレージは、これまで比較的脇役の座にあることが多かったが、クラウド時代ではサーバーと対等、あるいは、サーバー以上に重要な位置づけとなることが、考えられる。企業ユーザーにおいても、今後クラウド時代の新しいストレージ戦略が求められることになろう。(ESN)