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◇企業システム◇米マイクロソフトが独自のクラウドサービス「ウインドウズ・アズール」発表

2009-11-30 09:28:15 | クラウド・コンピューティング

 【クラウド】米マイクロソフト は、米国時間11月17日(火)、クラウドのプラットフォームサービス(PaaS)「Windows Azure(ウインドウズ・アズール)」の商用サービスを2010年1月から全世界で開始すると発表した。マイクロソフトのチーフ ソフトウェア アーキテクトであるレイ オジー(Ray Ozzie)は、「ウインドウズ・アズール」とクラウド対応DBMS「SQL Azure(SQLアズール)」が、同社のクラウド サービス戦略の中核的な要素であることを強調。また、オジーは、「スリースクリーン&クラウド(Three Screens and a Cloud)」ビジョン、すなわちPC、携帯電話、そしてテレビといったスクリーンの違いを意識せずに利用可能であり、かつすべてがクラウド ベースのサービスを介して接続されているようなソフトウェア・エクスペリエンスの実現に向けたマイクロソフトの構想を明らかにした。(マイクロソフト:米国09年11月17日発表)

 【コメント】マイクロソフトのクラウドサービスが、いよいよ幕を切って落とされた。マイクロソフトの発表によると、クラウドのプラットフォームサービス(PaaS)について「ウインドウズ・アズール」とDBMS「SQLアズール」を、2010年1月から本格運用を全世界で開始するが、1月中は無料とし、2月から有料にするようだ。日本に市場については、イベント「Tech・Days 2010 ~Best of PDC”」(2010 年 2 月 23, 24 日)のタイミングで、日本のユーザー向け環境の提供時期など、詳細情報について紹介できるよう準備を進めているという。

 これまで、クラウドのPaaSについてはグーグルやアマゾンが先行し、マイクロソフトの動向が各方面から注目されていたが、今回ようやくその全貌を正式に明らかにした。グーグルやアマゾンのクラウドとマイクロソフトのクラウドの違いは何か?最も大きな違いは、マイクロソフトのクラウドが、オンプレミス(自社設置)との共存共栄を強く意識したものになっている点だろう。マイクロソフトは次のように説明している。つまり、ユーザーが求めているのは、アプリケーションの開発や展開における選択肢の豊富さと柔軟性である、としている。さらに、マイクロソフトは、PC、携帯電話、Webといったあらゆる利用環境からアクセス可能なクラウドサービスに力を注ぐことを強調する。

 つまり、オンライン型のサービスとオンプレミス(自社設置)型のソフトウェアを組み合わせたハイブリッドなアプローチこそが重要であり、ことをマイクロソフトのクラウド戦略の要に置いている。まあ、これはこれまでのマイクロソフトのユーザー資産を損なわずに、来るべきクラウド新時代に対応する戦略としては、至極まっとうな選択といえばいえるであろう。

 それより、注目すべきはクラウド対応DBMS「SQLアズール」の存在なのかもしれない。クラウド時代に突入すると、これまで主役の座はサーバーであったものが、徐々にストレージに主役の座が回ってくる可能性がある。つまり、DBMSへの関心が、これまで以上に高まることが予想される。この際に、オラクルの牙城を崩し、マイクロソフトがDBMSのイニシアチブを握ることができるのか?クラウド時代に突入すると、これまでにない新しい業界地図が出現するかもしれない。(ESN)