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◇企業システム◇マイクロソフト、プラットフォーム・クラウドの本格的事業開始

2010-02-24 07:12:18 | クラウド・コンピューティング

 【クラウド】マイクロソフトは、クラウド コンピューティング プラットフォーム「Microsoft Windows Azure Platform」について、日本市場向けの製品サイトの開設、技術情報の提供や開発者支援策の提供などを通して、日本市場において本格的に事業展開を開始する。現在までに、50社のパートナー企業がWindows Azure Platformの採用や対応アプリ-ションの開発について表明している。同社では今後もパートナー企業を拡大するとともに、各社と日本市場でのWindows Azure Platformの導入を推進していくことにしている。(マイクロソフト:10年2月22日発表)

 【コメント】いよいよマイクロソフトが、クラウドのプラットフォームサービス事業に本格的に乗り込んできた。これまで、グーグルやアマゾンのプラットフォームのクラウドサービスをじっと睨んで、満を持してのサービス開始だけにマイクロソフトとしても力が余計入るであろう。今回の発表にあたり、マイクロソフトは、次に挙げる4社をはじめ、多くの企業においてWindows Azure Platformの検証および早期導入が進んで入ることを明らかにした。導入ユーザー名を挙げたのは次の4ユーザーだ。①グーモ(クラウドベースの動画配信サービス) ②ソフトバンク クリエイティブ(Webメディア用途のコンテンツマネジメントシステム) ③宝印刷(企業情報開示支援サービス)④富士通システムソリューションズ(ERPパッケージのクラウドマイグレーション)。

 マイクロソフトでは、Windows Azure Platformを導入することにより、次のようなメリットを得ることができるとしている。ユーザーは、時間や場所を選ぶことなく、PCや携帯電話、テレビなど様々なデバイスからWindows Azure Platform上のアプリケーションやデータにアクセスすることが可能。開発工数の削減や柔軟なシステム構築が可能になる他、従量制の料金体系により一時的な利用が可能であるため、大企業だけでなく、中堅中小企業やベンチャー企業など、企業の規模に関わらず、Windows Azure Platformの導入を通してビジネス機会の拡大を図ることが可能となる。

Windows Azure Platformは、全世界のマイクロソフトのデータセンターをベースに、ユーザーにインターネット経由でコンピューティング リソースを提供するクラウド コンピューティング プラットフォームであり、クラウド オペレーティングシステムであるWindows Azureとクラウド データベースであるSQL Azureなどが含まれる。ユーザーは、必要に応じて必要な分だけコンピューティングリソースを利用する事が可能なだけでなく、現在利用中の自社運用(オンプレミス)環境にあるサーバーやソフトウェアとクラウドをシームレスに組み合わせて運用する事が可能ーーとマイクロソフトは謳っているが、ユーザーとしてはセキュリティ対策は大丈夫かという問題が常に付きまとう。

 その解決策の一例として同社は、今回宝印刷(本社:東京都豊島区)の導入事例を公開した。同ユーザーのシステムでは、マイクロソフトがWindows Azure Platformに関する技術情報を提供するとともに、日立システムが提供する企業内システムとクラウドコンピューティングを最適に組み合せる「ハイブリッドインテグレーション」を適用し、企業システムをWindows Azure Platform上に構築するためのノウハウを提供することで、Windows Server上で動作する.NETベースの既存アプリケーションを短期間でクラウド上に実装することができた。また、ユーザーのニーズに沿ってデータベースは国内の自社運用型システムに配置したまま、利用ピークが
限られるアプリケーション部分をクラウド上に配置するハイブリッド方式のクラウドシステムを構築している。これは、オンプレミスとサービスをシームレスに組み合わせ、ユーザーにとって最適なシステムを「ソフトウェア+サービス」の考え方に基づき具体化したシステム。

 今後、ユーザーは、既存のオンプレミスシステムと新しいクラウドシステムを如何に組合すことによって、セキュリティを確保できるかのノウハウを取得することが急務となろう。(ESN)