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◇企業システム◇NEC、マイクロソフトのクラウド「BPOS」のセールスをスタート

2010-02-01 09:35:14 | クラウド・コンピューティング

 【システム開発】NECは、Microsoft Officeをプリインストールした企業向けPCの拡販推進のため、マイクロソフトと、同社の企業向けオンラインサービス「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の小規模企業・SOHO向けの販売で協業する。同協業により、NECはBPOS導入の支援体制やサービスを整備し、企業向けPC「Mateシリーズ」「VersaProシリーズ」とBPOSを組み合わせた提案を本格化することで、小規模企業・SOHO向けのPC販売を強化する。(NEC:10年1月25日発表)

 【コメント】最近、中小・中堅企業向け市場が注目されている。しかし、それはベンダー側からの一方的願望に過ぎない場合が多い。というのは、リーマンショック以来、大手企業向けの市場の伸びにブレーキが掛かり、一部の大手ベンダーはこのピンチを何とか切り抜けようと、急に中小・中堅企業向け市場への取り組みの強化を打ち出しているからだ。しかし、長年にわたり大手企業ユーザーを相手にシステム構築を行ってきた一部の大手ベンダーが、急に方向転換して、中小・中堅企業ユーザーの開拓に力を入れても、そう簡単に市場を獲得できるものではない。中小・中堅企業ユーザーは、コンセプトがどうのこうのなどということを言っても、何の反応も見せない。要は、システム構築に要した金額だけの見返えりが明確になるかどうかだけだ。

 このような、観点からすると今後クラウドが中小・中堅企業ユーザーに与える影響は、小さくないと考えられる。マイクロソフトでは09年4月から、企業向けソフトウェアの機能をマイクロソフトの運用するデータセンターからネットワーク経由で提供する「Microsoft Online Services」の第1弾として、「Microsoft Exchange Online」「Microsoft Office SharePoint Online」 などを含む「Microsoft Business Productivity Online Suite(マイクロソフト ビジネス プロダクティビティ オンライン スイート=BPOS)」の提供を開始した。これまでは、ユーザー側にサーバーを設置するか、アウトソーシングでユーザーに提供するかの選択肢しかなかったが、今後はこれに加え、クラウドによる提供の選択肢が増えることになるが、中小・中堅ユーザーがクラウドに対し、どのような対応をするのかまだ未知数のところがある。

 今回、NECはこの未知数の分野への挑戦を行うことになる。BPOSは、マイクロソフトの企業向けオンラインサービスである「Microsoft Online Services」のうち、以下の4つのサービスをセットにしたものであり、NECは月額1,044円/1ユーザで利用できる点を強調する。(1)グループウェアサービス「Exchange Online」(2)社内情報共有サービス「SharePoint Online」(3)インスタントメッセージや在籍情報などのサービス「Office Communications Online」(4)Web会議サービス「Office Live Meeting」。

 通常、ファイル共有やテレビ会議などを実現するには専用のサーバを導入する必要があったが、BPOSは、PCにOfficeがインストールされていれば、サーバを用意することなく様々なサービスを利用できるところが、ミソである。マイクロソフトは「今後ともNECと戦略的な協業を行い、企業向けPCとBPOSの活用による中小企業の活性化への貢献に取り組んでいく」とアピールしているが、果たして、中小・中堅企業は、BPOSへどのような反応をみせるのか?こればっかりは、実際に行動に移さない限り、中小・中堅企業からの明確な回答は得られまい。(ESN)