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◇企業システム◇日本HPがレガシーシステム移行サービス「AMoD」の提供開始

2009-05-27 09:52:33 | システム開発

 【システム開発】日本HPは、EDSジャパンの協力の下、メインフレームなどレガシーシステムを最新のシステム基盤へ移行・再構築するアプリケーション・モダナイゼーション・サービス「AMoD」の提供を開始した。「AMod」では、ハードウェアやソフトウェアなどインフラ中心のプラットフォーム移行で実績をもつ日本HPのノウハウと、上流コンサルティングやアプリケーション領域での移行サービスに強みをもつEDSジャパンのノウハウを融合することで、アセスメントサービスからロードマップの策定、そして具体的な移行アプローチまで、トータルなモダナイゼーション・サービスを提案することにしている。これにより、老朽化したレガシーシステムを抱えるユーザーを柔軟で俊敏な企業体に変革し、さらなる企業価値の向上を支援する。 (日本HP/EDSジャパン:09年5月13日発表)

 【コメント】最近のITは、仮想化、SOA、クラウドコンピューティングなど、これまでのシステム機能をより進化させた新しい概念への取り組みが急ピッチで行われている。しかし、これらを取り入れるには全く新しいシステム構築やある特定のアプリケーションでは比較的容易かもしれないが、メインフレームに代表される過去のシステム資産を大量に抱えているユーザーにとっては、絵に書いた餅となってしまっている。かといって、過去のシステム資産を捨てるわけにも行かないのが現状だ。つまり、現在、企業における業務システムの約70%がレガシー化しているといわれているが、事業の継続性・効率性・有効性、情報セキュリティを追求する上では、これら硬直化したレガシーシステムが大きな足かせになってしまう可能性が存在する。

 日本HPでは、これまでもメインフレームを中心とするレガシーシステムから標準化された最新の技術を使ったシステムへの移行「MFA」を積極展開してきたが、今回EDSジャパンと協業し、メインフレームなどのレガシーシステムを最新のシステム基盤へ移行・再構築するアプリケーション・モダナイゼーション・サービス「AMod」の提供を開始したもの。

 「AMod」には、7つのモダナイゼーシションアプローチが用意されている。つまり7つの「Re」で始まるモダナイゼーションアプローチを柔軟に組み合わせ、ユーザーの環境に適したモダナイゼーションを計画する。提供する7つのモダナイゼーションアプローチは以下の通り。

 Re-Learn:コード、データおよびドキュメントを解析
 Re-Factor:コードを改修し、パフォーマンス/保守性を向上
 Re-Host:アプリケーションは変更せず、プラットフォームのみを移行
 Re-Architect:.NETやJavaなど別言語で再構築
 Replace:パッケージソフトなどで置き換え
 Re-Interface:ユーザーインターフェイス、またはシステム連携部を再構築
 Retire:適切な手順でアプリケーションを廃止

 レガシーシステムを最新のシステムへ移行させる場合にまず検討したいのが、アプリケーションの移行なのか、プラットフォームの移行なのかという点である。さらにパッケージソフトに置き換えるかどうかの点であろう。また、アウトソーシングという観点に立つかどうかである。結論からいうと、アプリケーション、パッケージソフト、それにアウトソーシングの採用こそ最優先されるべきであろう。従来、企業の情報システム部門はあまりに安定性を狙うあまり、システム自体が重くなり、同時に自社のシステム要員の増強が最優先されてきた。しかし、これからの企業のシステム部門は、システム自体も要員数もいかに身軽さを追求できるかが問われることになる。(ESN)